スピカ:おとめ座の一等星
スピカは、おとめ座にある青白い星で、地球から約250光年離れています。1つの星に見えますが、実際には2つの星が接近して公転する連星系です。今いる場所からスピカを探すには、Sky Tonightを開いて「スピカ」を検索しましょう。画面の矢印に従うと、見る方向がわかります。
内容
スピカ星の特徴
暗い空で十分な高さまで昇っていれば、スピカは肉眼で見えます。2つの高温の星が、共通の重心の周りを約4日で公転しています。
- 固有名:スピカ
- バイエル符号:おとめ座α星(α Virginis、略称α Vir)
- 別名:Azimech、Spica Virginis
- 星表番号:67 Virginis、HD 116658、HIP 65474、HR 5056
- 星座:おとめ座
- 恒星の種類:2つのB型星からなる分光連星
- 色:青白色
- 赤経(J2000):13時25分11.58秒
- 赤緯(J2000):−11° 09′ 40.8″
- 見かけの等級:約1.0等、わずかに変光
- 地球からの距離:約250光年
- 公転周期:約4.0145日
下の表は、Tkachenkoほか(2016年)に基づき、スピカを構成する2つの星を比較したものです。数値は概数です。
| 特性 | スピカA | スピカB |
|---|---|---|
| 質量 | 太陽の11.4倍 | 太陽の7.2倍 |
| 半径 | 太陽の7.5倍 | 太陽の3.7倍 |
| 光度 | 太陽の20,500倍 | 太陽の2,250倍 |
| 表面温度 | 25,300 K | 20,900 K |
おとめ座のスピカの見つけ方
スピカは肉眼で見える明るさですが、多くの星の中から見つけるのは難しいかもしれません。簡単な探し方を2つ紹介します。
北斗七星を目印にする
北斗七星が見えるなら、柄の曲線を延ばしてオレンジ色のアークトゥルスへ、さらに同じ曲線をたどって青白いスピカへ進みましょう。「弧をたどってアークトゥルス、その先にスピカ」と覚えると便利です。この方法は特に北半球で役立ちます。南の緯度では、北斗七星の大部分が地平線の下にあるためです。

北斗七星は空で最も見分けやすい星の並びの1つで、おおぐま座の一部です。

星を探せるアプリを使う
スピカを最も簡単に見つける方法は、無料のSky Tonightアプリを使うことです。
- アプリを開き、「スピカ」を検索します。
- 検索結果の横にある照準アイコンをタップします。
- メイン画面の青いコンパスアイコンをタップするか、端末を空に向けます。
- 画面の矢印に従って、実際の空でスピカを見つけます。
まだスピカが見えない場合は、昇る時刻を確認して別の時間に観測を計画できます。

スピカが見える時期
南北両半球の多くの地域では、3月から6月が夕方の空でスピカを見るのに適した時期です。北半球では春、南半球では秋にあたります。ほかの時期には、夜明け前に見えることもあります。
10月中旬ごろは、空で太陽に近づきすぎるため、スピカの観測が難しくなります。見えにくい期間は、緯度や現地の薄明の状況によって変わります。
以下の現象では、スピカの近くに月や惑星がやってきます。合とは、天体の位置を表す座標の1つである赤経が同じになることです。最接近とは、天体同士の角距離が最小になることです。合と最接近は、異なる時刻に起こる場合があります。
世界共通の現象時刻は協定世界時(UTC)で示し、地球の中心から見た位置を基にしています。表は各都市の現地時刻による観測可能時間と、その場所から見た角距離を示しています。そのため、特に地球に近い月の場合、角距離は地心での値と異なることがあります。
2026年11月3日〜10日:金星とスピカが接近

- 最接近の時刻:11月9日11:24 UTC
- 最接近時の角距離:1°10′
- 合の時刻:11月3日12:59 UTC
- 合のときの角距離:2°21′
11月上旬、金星がおとめ座のスピカ(1.0等)の近くを通ります。この時期の金星は、背景の星に対して逆行しています。11月3日に合となり、11月9日に最も近づきます。表にある日本の4都市では、地心での最接近の前後24時間以内に観測できる最も近い並びは、11月10日の明け方に見られます。9日と10日の朝では見た目はほぼ同じなので、晴れている方を選びましょう。
日の出前に探してください。晴れていればどちらも肉眼で見えますが、スピカは金星よりはるかに暗く、薄明に埋もれやすい星です。最接近の前後には約1.2°離れて見え、月の見かけの直径の2倍を少し上回ります。双眼鏡があるとスピカを見つけやすくなります。地平線を見渡せる場所を選び、日の出前に観測を終えましょう。
| 都市 | タイムゾーン | 観測可能時間の開始 | 観測可能時間の終了 | 最適時刻 | 角距離 | 金星の高度 | スピカの高度 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 東京、日本 | JST | 11月10日 05:15 | 11月10日 05:45 | 11月10日 05:15 | 1°09′ | 11° | 10° |
| 大阪、日本 | JST | 11月10日 05:30 | 11月10日 06:00 | 11月10日 05:30 | 1°09′ | 11° | 10° |
| 札幌、日本 | JST | 11月10日 05:25 | 11月10日 05:50 | 11月10日 05:25 | 1°10′ | 11° | 10° |
| 福岡、日本 | JST | 11月10日 05:50 | 11月10日 06:20 | 11月10日 05:50 | 1°09′ | 11° | 10° |
- 観測可能時間:両天体の高度が10°以上で、太陽の高度が−6°より低い時間帯です。
- 最適時刻:観測可能時間内で、各都市から見た金星とスピカの角距離が最小になる時刻です。 地心での最接近時刻の前後24時間以内にある観測可能時間を比較しています。
- 金星/スピカの高度:最適時刻における、それぞれの天体の地平線からの高さです。
- 角距離:各都市から見た金星とスピカの見かけの間隔です。
- 丸め方:現地時刻は最も近い5分単位、高度は1°単位、角距離は1′単位に丸めています。日付はすべて2026年です。
2026年11月7日:月とスピカが接近

- 最接近の時刻:11月7日11:31 UTC
- 最接近時の角距離:2°10′
- 合の時刻:11月7日13:23 UTC
- 合のときの角距離:2°23′
11月7日、細く欠けていく月がおとめ座のスピカ(1.0等)の近くを通ります。明るい金星も近くにあるので、スピカを探す目印になります。
日の出前に3つの天体を探しましょう。晴れていればすべて肉眼で見えますが、高度が低く夜明けも迫るため、観測できる時間は短めです。双眼鏡があるとスピカを見つけやすくなりますが、機種によっては3天体が同じ視野に収まらないこともあります。地平線を見渡せる場所を選び、日の出前に観測を終えてください。
| 都市 | タイムゾーン | 観測可能時間の開始 | 観測可能時間の終了 | 最適時刻 | 角距離 | 月の高度 | スピカの高度 | 金星の高度 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 東京、日本 | JST | 11月7日 05:30 | 11月7日 05:40 | 11月7日 05:40 | 7°27′ | 19° | 13° | 12° |
| 大阪、日本 | JST | 11月7日 05:45 | 11月7日 05:55 | 11月7日 05:55 | 7°19′ | 19° | 13° | 13° |
| 札幌、日本 | JST | 11月7日 05:40 | 11月7日 05:45 | 11月7日 05:45 | 7°29′ | 17° | 11° | 11° |
| 福岡、日本 | JST | 11月7日 06:00 | 11月7日 06:15 | 11月7日 06:15 | 7°08′ | 19° | 13° | 13° |
- 観測可能時間:月、スピカ、金星の高度がすべて10°以上で、太陽の高度が−6°より低い時間帯です。
- 最適時刻:観測可能時間内で、各都市から見た月とスピカの角距離が最小になる時刻です。 地心での最接近時刻の前後24時間以内にある観測可能時間を比較しています。
- 月/スピカ/金星の高度:最適時刻における、それぞれの天体の地平線からの高さです。
- 角距離:各都市から見た月とスピカの見かけの間隔です。
- 丸め方:現地時刻は最も近い5分単位、高度は1°単位、角距離は1′単位に丸めています。日付はすべて2026年です。
2026年11月19日〜20日:金星とスピカが接近

- 合の時刻:11月19日22:45 UTC
- 合のときの角距離:1°48′
11月19日(UTC)、金星(−4.9等)とスピカ(1.0等)がおとめ座で2回目の合を迎えます。11月14日に逆行を終えた金星は、再び東向きにスピカのそばを通ります。表にある日本の4都市では、11月20日の明け方を掲載しています。前後の朝にも観察できます。
日の出前、東から南東の地平線の上に2天体を探しましょう。晴れていればどちらも肉眼で見えますが、スピカは金星よりはるかに暗い星です。このころには夜明け前の高度が高くなり、11月上旬より見つけやすくなります。双眼鏡を使うとスピカを確認しやすくなります。地平線の開けた場所を選び、日の出前に観測を終えてください。
| 都市 | タイムゾーン | 観測可能時間の開始 | 観測可能時間の終了 | 最適時刻 | 角距離 | 金星の高度 | スピカの高度 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 東京、日本 | JST | 11月20日 04:35 | 11月20日 05:55 | 11月20日 04:35 | 1°47′ | 11° | 10° |
| 大阪、日本 | JST | 11月20日 04:50 | 11月20日 06:10 | 11月20日 04:50 | 1°47′ | 11° | 10° |
| 札幌、日本 | JST | 11月20日 04:45 | 11月20日 06:00 | 11月20日 04:45 | 1°47′ | 11° | 10° |
| 福岡、日本 | JST | 11月20日 05:10 | 11月20日 06:30 | 11月20日 05:10 | 1°47′ | 11° | 10° |
- 観測可能時間:両天体の高度が10°以上で、太陽の高度が−6°より低い時間帯です。
- 最適時刻:観測可能時間内で、各都市から見た金星とスピカの角距離が最小になる時刻です。 合の時刻の前後24時間以内にある観測可能時間を比較しています。
- 金星/スピカの高度:最適時刻における、それぞれの天体の地平線からの高さです。
- 角距離:各都市から見た金星とスピカの見かけの間隔です。 現地時刻は最も近い5分単位、高度は1°単位、角距離は1′単位に丸めています。日付はすべて2026年です。
2026年12月4日〜5日:月とスピカが接近

- 最接近の時刻:12月4日17:19 UTC
- 最接近時の角距離:2°20′
- 合の時刻:12月4日19:19 UTC
- 合のときの角距離:2°33′
12月4日ごろ、細く欠けていく月がおとめ座のスピカ(1.0等)の近くを通り、明るい金星もそばに見えます。表にある日本の4都市では、最も条件に合う観測時間は12月5日の明け方です。
日の出前にこの並びを探しましょう。晴れた空では、月、スピカ、金星を肉眼で見ることができます。金星と細い月を目印にするとスピカを探しやすくなります。双眼鏡を使うと星を確認しやすくなりますが、天体同士の間隔が広く、すべてが1つの視野に収まらないこともあります。観測は日の出前に終えてください。
| 都市 | タイムゾーン | 観測可能時間の開始 | 観測可能時間の終了 | 最適時刻 | 角距離 | 月の高度 | スピカの高度 | 金星の高度 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 東京、日本 | JST | 12月5日 04:00 | 12月5日 06:10 | 12月5日 04:00 | 3°09′ | 12° | 14° | 10° |
| 大阪、日本 | JST | 12月5日 04:15 | 12月5日 06:20 | 12月5日 04:15 | 3°13′ | 12° | 15° | 10° |
| 札幌、日本 | JST | 12月5日 04:10 | 12月5日 06:20 | 12月5日 04:10 | 3°16′ | 11° | 14° | 10° |
| 福岡、日本 | JST | 12月5日 04:35 | 12月5日 06:40 | 12月5日 04:35 | 3°18′ | 12° | 15° | 10° |
- 観測可能時間:月、スピカ、金星の高度がすべて10°以上で、太陽の高度が−6°より低い時間帯です。
- 最適時刻:観測可能時間内で、各都市から見た月とスピカの角距離が最小になる時刻です。 地心での最接近時刻の前後24時間以内にある観測可能時間を比較しています。
- 月/スピカ/金星の高度:最適時刻における、それぞれの天体の地平線からの高さです。
- 角距離:各都市から見た月とスピカの見かけの間隔です。
- 丸め方:現地時刻は最も近い5分単位、高度は1°単位、角距離は1′単位に丸めています。日付はすべて2026年です。
スピカはどんな種類の星?
スピカは分光連星です。互いに近い軌道を回る2つの星は、普通の望遠鏡では1つの光の点にしか見えませんが、スペクトルから区別できます。互いの重力によって星の形はゆがんでいます。主星は脈動もしており、系全体の小さな明るさの変化に寄与しています。
スピカA
スピカAは大きく明るい方の星で、系全体の可視光の約85%を放っています。通常はB1 III–IV型に分類され、光度階級は準巨星と巨星の中間です。このスペクトル分類だけでは、中心部で水素の核融合がまだ続いているかどうかはわかりません。
星がどのように変化するかは、恒星の一生のインフォグラフィックで紹介しています。

スピカB:主系列星
スピカBは、中心部で水素の核融合を行っている高温のB型主系列星です。スピカAより小さく光度も低いものの、太陽と比べるとはるかに大きく高温です。
スピカのさらに詳しい話
スピカはいくつもの星の並びの目印となり、航海術や神話、伝統的な天文学でも重要な役割を果たしてきました。
おとめ座で最も明るい星
地球から見ると、スピカはおとめ座のほかのどの星よりも明るく見えます。夜空で最も明るい恒星20個にも含まれます。正確な順位は、多重星をどう数えるかや、変光星の明るさの変化によって異なります。ほかの星との比較は、明るい恒星のインフォグラフィックをご覧ください。

スピカという名前の意味は?
ラテン語の「Spica」は「穀物の穂」、つまり穀物の種子が実る部分を意味します。伝統的な星座絵では、スピカはおとめが手に持つ穂を表しています。おとめ座を誰に見立てるかは伝承によって異なり、ギリシャの農耕の女神デメテルと結びつけることもあります。
中国天文学のスピカ:竜の角
スピカの中国名は角宿一(Jiǎo Xiù Yī)で、「角宿の第1星」という意味です。伝統的に空を28に分ける二十八宿の1つ、角宿の中心となる星です。角宿は東方の青龍に属します。この名前は中国国家天文台の天文学用語データベースに記載されています。
航法の目印になる星
スピカは、航空天測暦と航海用天測暦で用いられる57個の航法星の1つです。その明るさは、天体の位置を測定して観測者の位置を求める天文航法に役立ちます。
スピカは何色?
スピカは青白く見えます。2つの星はどちらも太陽よりはるかに高温です。一般に、高温の星ほど可視光に占める青い波長の割合が大きくなります。ただし、実際に見える色は大気の状態にも左右されます。
春の大三角と春のダイヤモンドの一角
スピカは2つのアステリズムに含まれます。アステリズムとは、正式な星座ではない、見分けやすい星の並びです。春の大三角には、スピカ、うしかい座のアークトゥルス、しし座のレグルスを結ぶ形があり、レグルスの代わりにデネボラを用いる形もよく知られています。春のダイヤモンドは、スピカ、アークトゥルス、デネボラ、りょうけん座のコル・カロリを結びます。
月によるスピカの掩蔽には周期がある
月が遠くの天体の手前を通り、地球の一部の地域からその天体を一時的に見えなくする現象を、月による掩蔽と呼びます。スピカは、太陽が1年かけて空を移動する見かけの道である黄道から約2°南にあるため、月がその手前を通ることがあります。
月は1周するごとに、黄道の南北およそ5°の範囲を動きます。同時に、軌道面の向きもゆっくりと変化しています。月の軌道と黄道が交わる交点は、約18.6年で1周します。この長い周期によって月がスピカのそばを通る経路が変わり、掩蔽が続けて起こる時期と、何年も起こらない時期が生まれます。1回ごとの掩蔽が見えるのは、地球上の限られた範囲だけです。
占星術におけるスピカ:意味と象徴
占星術の伝統では、スピカは幸運、才能、成功、豊かさと結びつけられています。こうした象徴的な解釈は、穀物、収穫、繁栄のイメージに由来します。
スピカは天文学上はおとめ座に属しますが、2026年のトロピカル方式の黄道十二宮では、天秤宮の約24°に位置します。トロピカル方式のサインは3月の春分点を起点とする30°ずつの均等な区分で、天文学的な星座の境界とは異なります。地軸の歳差によって、春分点は恒星に対して徐々に移動します。詳しくは黄道星座と占星術のサインの違いの記事をご覧ください。
これらは象徴的な伝統であり、スピカが人の性格や人間関係、運勢に影響するという科学的な証拠はありません。
スピカ星のまとめ
スピカはおとめ座で最も明るい星で、探す場所がわかれば見分けやすい星の1つです。北斗七星の柄の曲線をアークトゥルスの先まで延ばすか、Sky Tonightを使って空での位置を確認しましょう。アプリでは今いる場所からスピカが見える時間も調べられるので、観測に最適な時刻を選べます。
