7月の夜空ガイド:おすすめの星座と注目の星

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お見逃しなく!こちらは7月の夜に最も見やすい10の星座です。Star Walk 2アプリの拡張現実星空マップでも、従来の星図でも、7月の星空観察に欠かせない星空ガイドをご提供します。

目次

はじめに

毎月お届けしている「観測に最適な星座」シリーズへようこそ!公式に認められた88の星座を、もっとも見やすい時期に合わせて12か月に振り分けました。

星座が「もっとも見やすい月」とは、現地時刻で午後9時ごろに子午線を通過し、空で最も高い位置(南中)に達する月を指します。つまり、その月の午後9時ごろに星座が頂点に昇っているということです。

ただし、ピークの月を過ぎても星座が消えるわけではなく、地平線近くに低く見えるだけです。

観測時刻

  • 各星座の観察ガイドは現地時間の午後9時~10時を想定しています。

可視範囲

  • 星座の位置は緯度観測時刻によって変わります。以下の各セクションには、その星座が完全に見える緯度範囲を「観測可能地域」として記載しています。

探し方のツール

  • インタラクティブ星図:無料アプリStar Walk 2をダウンロード
  • 手動で探す:目印となる星のパターンを使ったステップバイステップの説明に従ってください

明るさ評価

  • ☆☆☆:非常に明るく、肉眼で楽に見える
  • ☆☆:やや明るく、晴天なら見つけやすい
  • :暗め。双眼鏡推奨

それでは、7月のおすすめ星座を、明るい順から順にご紹介します。

7月の明るい星座

さそり座

  • 明るさ:☆☆☆
  • 観測可能範囲:北緯40°〜南緯90°
  • 最も明るい星:アンタレス(等級1.0)
  • おすすめ深空天体:バタフライ星団(等級4.2)、プトレマイオス星団(等級3.3)
Scorpius constellation
さそり座は南天に位置するやや小さな黄道星座で、面積は497平方度です。

7月の夜空でさそり座を見つける方法

さそり座は最も見つけやすい黄道十二星座のひとつで、星が「J」字(あるいは釣り針)のように並び、湾曲した尾を持つサソリの姿を描いています。

北半球では、南向きに姿勢を取り、地平線近くに低く輝く赤い星アンタレスを探してください。これが「サソリの心臓」です。そこからアンタレスを起点にJ字状に星をたどり、尾の形を確認しましょう。

注意:北緯40°より北(たとえばフランス、ドイツ、英国、カナダなど)では、さそり座の一部が地平線下に隠れます。

南半球では、空が完全に暗くなったら南向きに空を見上げ、高度の高い位置にあるルビー色のアンタレスを探し、そこからJ字状に星を追って体と尾を描いてください。

さそり座の中を天の川が横切るため、より美しい眺めが楽しめます。

また、さそり座は黄道上にあるため、月や太陽、惑星がその中を通過することがあります。2025年7月7日には90%の月がアンタレスのそばを通過し、肉眼や双眼鏡で簡単に観察できます。西オーストラリア、南アフリカ、ナミビアではアンタレスが一時的に月に隠れる掩蔽も起こります。

神話

ギリシャ神話では、さそり座は大地の女神ガイアが、狩りを誇ったオリオンを懲らしめるために放った巨大なサソリとされています。オリオンはあらゆる生き物を倒すと豪語していたため、ガイアはさそりを送り込み、オリオンを刺し殺しました。

このため、オリオン座とさそり座は永遠の敵となり、ゼウスはふたつの星座が空で同時に現れないよう、反対側に配置したと言われます。さそり座が昇るとき、オリオン座はすでに地平線下に沈んでおり、その逆も同様です。

みなみのさんかく座

  • 明るさ:☆☆
  • 観測可能範囲:北緯15°〜南緯90°
  • 最も明るい星:アトリア(等級1.9)
  • おすすめ深空天体:NGC 6025(等級5.1)
Triangulum Australe constellation
みなみのさんかく座は南天にある小さな星座で、面積は110平方度です。

7月の夜空でみなみのさんかく座を見つける方法

みなみのさんかく座は南天の天の極に近く、多くの南半球の地域では周極星となり、沈むことなく常に見えます

北半球では、みなみのさんかく座を観察するのは難しく、タイ、ベトナム、フィリピン、コロンビア南部やベネズエラなど、赤道付近まで南下しないと全体を捉えられません。これらの地域では南の地平線近くに低く見える小さな正三角形を探してください。

南半球では、みなみのさんかく座はずっと見つけやすいです。南向きに姿勢を取り、地平線とさそり座の赤い星アンタレスのちょうど中間あたりを見上げてください。はっきりとした小さな三角形が見つかり、その西側には空で3番目に明るいアルファ・ケンタウリがあります。

神話

みなみのさんかく座には古代の神話的由来はありません。これは16世紀末にオランダの水先案内人フレデリック・デ・ハウトマンとピーテル・ディルクスゾーン・ケイザーによって作られた12の星座のうち、最も小さいものです。

へびつかい座

  • 明るさ:☆☆
  • 観測可能範囲:北緯80°〜南緯80°
  • 最も明るい星:ラサルハゲ(等級2.1)
  • おすすめ深空天体:ガムボール星団(等級7.6)
Ophiuchus constellations
へびつかい座は天の赤道上にある大きな星座で、面積は948平方度です。

7月の夜空でへびつかい座を見つける方法

へびつかい座は天の赤道沿いに広がる淡く大きな星座です。星がやや暗いため、月明かりのない晴れた暗い夜を選んで観察してください。

北半球では、夕暮れに南向きに姿勢を取り、さそり座の赤い心臓星アンタレスを探します。アンタレスの東側少し上に想像上の線を引き、青白く明るいベガまでたどると、その中間あたりにへびつかい座が見えてきます。

南半球では、暗くなったら北向きに空を見上げ、最初に頭上高くのさそり座を探します。赤いアンタレスと特徴的な鉤の形を確認したら、その真下にへびつかい座が見つかります。

神話

へびつかい座のラテン語の名前(Ophiuchus)は古代ギリシャ語で「蛇を携える者」を意味し、星図では蛇座という別の星座を抱える姿で描かれています。ギリシャ神話では、へびつかい座は伝説の名医アスクレピオスを表します。彼は蛇の毒とゴルゴンの血、そして秘薬を調合して一時的な不死性を得ました。その力を恐れたハーデースゼウスに訴え、ゼウスはアスクレピオスを星座にしてこの薬の使用を禁じたといいます。

ちなみに、へびつかい座は黄道上の13番目の星座の一つです。バビロニア人はこれを除外したため、現在の十二星座となっています。技術的には、あなたの星座がさそり座ではなくへびつかい座かもしれません。このような十二星座と黄道星座のずれには他にどんな違いがあるのでしょうか?インフォグラフィックでご確認ください!

Zodiac Constellations
12個星座の占星術の概念が現代の13個の黄道星座とどのように対応しているのか、そしてなぜへびつかい座が除外されたのかを発見しましょう。今すぐインフォグラフィックをチェック!
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りゅう座

  • 明るさ:☆☆
  • 観測可能範囲:北緯90°〜南緯15°
  • 最も明るい星:エルタニン(等級2.2)
  • おすすめ深空天体:キャッツアイ星雲(等級8.2)、スピンドル銀河(等級9.9)
Draco constellation
りゅう座は北天の天の北極を取り巻く大きな星座で、面積は1083平方度です。

7月の夜空でりゅう座を見つける方法

りゅう座は中緯度の周極星座 で、北極星ポラリス)の周りを大きく回るように配置されています。沈まない星座なので、晴れた夜ならいつでも見つけられます。

探し方はまず北斗七星を見つけ、その柄の端から想像上の線を下に引いてこぐま座を探します。その二つの星座の間にりゅう座の尾があり、そこに古代紀元前3000年頃の北極星だったトゥーバンが輝いています。また、夏の大三角を知っていれば、アルタイルからベガに向かう線上の中間あたりに、りゅう座の目を示す星、ラスタバンエルタニンが見つかります。

南半球では、りゅう座は天の赤道付近のインドネシア、ペルー、ブラジルなどで観察可能です。暗くなったら北の地平線近くに昇る一部が見えます。

神話

ギリシャ神話でりゅう座は、ヘスペリデスの園の金のリンゴの木を守る竜ラドンを表します。リンゴの木は女神ヘラから神々への贈り物で、ラドンは木に巻きついて果実を守りました。

英雄ヘラクレスは十二の功業の一つとして、毒矢を用いてラドンを倒し、金のリンゴを手に入れました。その忠誠を称えてヘラはラドンを星座に昇華させ、星図では天の北極を巻きつくようにとらえられ、ヘラクレスの足が竜の頭を踏んでいる姿で描かれることもあります。

ヘルクレス座

  • 明るさ:☆☆
  • 観測可能範囲:北緯90°~南緯50°
  • 最も明るい星:ヘルクレス座ベータ星(等級2.8)
  • 主な深空天体:M13(等級5.8)、M92(等級6.4)
Hercules constellation
ヘルクレス座は北天に位置する大きな星座で、面積は1225平方度です。

7月の夜空でヘルクレス座を見つける方法

ヘルクレス座は明るい星ベガアルクトゥルスの間に位置します。

北半球の夏の晴れた夜、北向きに空を見上げ、まず青白いベガを探します。次に少し西方向に視線を移し、オレンジ色に輝くアルクトゥルスを見つけましょう。これら二つの星を結ぶ想像上の線を引くと、その中間あたりに「キーストーン」と呼ばれる四角形が現れ、これがヘルクレス座の胴体を示します。もしすでにりゅう座を見つけていれば、キーストーンはりゅう座のすぐ上に位置しています。

南半球では、暗くなると北の地平線すぐ上にヘルクレス座が見えます。まずベガを見つけ、同じように西方向へ線を伸ばしてキーストーンを探してください。

神話

プトレマイオスの『アルマゲスト』(2世紀)では「跪く男」と呼ばれていましたが、後にギリシャの英雄ヘラクレス(ラテン語化してヘルクレス)をたたえてその名が付きました。伝説によると、ヘラクレスは神ゼウスと人間のアルクメネの子で、生まれた際にヘラの乳を飲んで不死身になったといわれます。しかしヘラの怒りにより狂気に陥り、自らの子らを殺してしまう悲劇を起こしました。その罪を贖うためデルフォイの神託を受け、エウリュステウス王に十二年仕えました。その間、ネメアの獅子退治やりゅう座の竜ラドン退治など「十二の功業」を成し遂げ、最後の試練を終えた後に自らの火葬台を築いて命を絶ちます。その英雄譚を称え、ゼウスは彼を星座として夜空に掲げたと伝えられています。

7月の淡い星座

さいだん座

  • 明るさ:☆
  • 観測可能範囲:北緯25°~南緯90°
  • 最も明るい星:さいだん座ベータ星(等級2.8)
  • おすすめ深空天体:NGC 6200(等級7.4)、NGC 6193(等級5.2)
Ara constellation
さいだん座は南天にある小さな星座で、面積は237平方度です。

かんむり座

  • 明るさ:☆
  • 観測可能範囲:北緯90°~南緯50°
  • 最も明るい星:アルフェッカ(等級2.2)
  • おすすめ深空天体:NGC 6086(等級12.7)
Corona Borealis constellation
かんむり座は北天にある小さな星座で、面積は179平方度です。

へび座

  • 明るさ:☆
  • 観測可能範囲:北緯80°~南緯80°
  • 最も明るい星:ウヌクアルハイ(等級2.6)
  • おすすめ深空天体:わし星雲(等級6.4)、M5(等級6.7)
Serpens constellation
へび座は北天に位置する星座で、面積は637平方度です。

ふうちょう座

  • 明るさ:☆
  • 観測可能範囲:北緯5°~南緯90°
  • 最も明るい星:ふうちょう座アルファ星(等級3.8)
  • おすすめ深空天体:NGC 6101(等級9.0)
Apus constellation
ふうちょう座は南天にある小さな星座で、面積は206平方度です。

じょうぎ座

  • 明るさ:☆
  • 観測可能範囲:北緯30°~南緯90°
  • 最も明るい星:じょうぎ座ガンマ²星(等級4.0)
  • おすすめ深空天体:NGC 6087(等級5.4)
Norma constellation
じょうぎ座は南天にある小さな星座で、面積は165平方度です。

天体観測のプロ向けポイント

  • 最適時間: 現地時間の午後9時~午前2時頃が最も暗い夜空を楽しめます。北半球の夏は真っ暗になる時間が遅めですが、南半球の冬は早く夜が深まります。
  • 月齢: 弱い星を狙うなら新月期や細い三日月期を選びましょう。
  • さらに学ぶ: 2025年7月に起こるすべての天文イベントは7月の夜空ガイドで確認できます。ポラリス、シリウス、アルクトゥルスなど有名な星の見つけ方はインフォグラフィックで学べます。
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ポラリス、シリウス、アルクトゥールスなど、最も有名な星の見つけ方を学びましょう。このインフォグラフィックを使用して、夜空に慣れます!
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まとめ:7月におすすめの星座と星

7月の夜空は、明るい星座と淡い星座が絶妙に混ざり合い、観測に最適な季節です。燃えるような中心を持つさそり座、大きくうねるりゅう座、英雄を象るヘルクレス座、壮麗な蛇遣い座など、どの星座もそれぞれの神話と魔力をまとって空に弧を描きます。月のない夜の午後10時頃に観測を計画し、無料のStar Walk 2アプリを使って星空ナビゲーションを手軽に楽しみましょう。

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