5月のベストな深空天体:両半球で狙えるおすすめ天体写真ターゲット
5月は、銀河、星雲、星団のどれを好む方にも、魅力的な天体写真ターゲットが豊富にそろう季節です。この記事では、5月に見られるおすすめの深空天体を紹介し、観測条件、スキルレベル、半球ごとに最適なターゲットを取り上げます。観測中に空の天体をすばやく特定したいなら、Sky Tonight天文アプリを使ってみてください。では、さっそく始めましょう!
内容
5月に見たいおすすめの銀河
銀河は、重力によってまとまった恒星、ガス、ちりの巨大な集まりです。5月は銀河を撮影するのに絶好の月です。というのも、北半球では銀河シーズンの最後の月にあたり、おとめ座、りょうけん座、かみのけ座のように、多くの銀河を含む星座が空高く昇るからです。南半球でも、今月注目したい明るい銀河ターゲットがいくつかあります。
小さな銀河は通常、より長い焦点距離と高精度の追尾を必要としますが、明るく大きなターゲットであれば中級クラスの機材でも撮影できます。このリストでは、私たちが特に魅力的だと感じる銀河を上位に挙げていますが、あなたのお気に入りはまったく別かもしれません。ですから、最初の数個だけで終わらず、ぜひ最後までスクロールして、自分にとって魅力的なターゲットを見つけてください。
南の回転花火銀河

- 別名:M83、NGC 5236
- 見かけの大きさ:12.9′ × 11.5′(月の0.4倍)
- 等級:7.6
- 星座:うみへび座
- 観測に適した地域:南半球
- 観察・撮影方法:南の回転花火銀河は、大きく、色彩豊かで、明るいため、南天で撮影するのに素晴らしい天体です。焦点距離約800mmの中倍率の望遠鏡を使えば、銀河の渦状腕を写すことができます。眼視観測では、光害の少ない場所なら10x50の双眼鏡でも観察でき、明るい中心をもつぼんやりとした光の染みのように見えます。
- 説明:M83は棒渦巻銀河です。地球から観測できる銀河の中でも、最も近く、最も明るい銀河のひとつです。過去100年の間に、M83では6個の超新星が観測されており、これほど多くの超新星を記録している銀河はごくわずかしかありません。
キャッツアイ銀河

- 別名:M94、NGC 4736、クロコダイルアイ銀河
- 見かけの大きさ:11.2′ × 9.1′(月の0.3倍)
- 等級:8.2
- 星座:りょうけん座
- 観測に適した地域:北半球
- 観察・撮影方法:空が非常に暗く澄んだ条件では、キャッツアイ銀河は双眼鏡でも小さく淡い光の染みとして見えます。M94は明るい中心部が比較的見つけやすいため、小型から中型の望遠鏡で撮影するのに適したターゲットです。さらに露出時間を長くすると、淡い外側のリングも写し出せます。銀河がフレーム内で小さくなりすぎないよう、中程度から長めの焦点距離を使うとよいでしょう。
- 説明:M94は棒渦巻銀河です。りょうけん座にあるM94銀河群の中で最も明るい銀河で、この銀河群には約20個の銀河が含まれています。このグループには、M64も属しており、M64は黒眼銀河としても知られ、このリストの5番目で紹介しています。
M106

- 別名:NGC 4258
- 見かけの大きさ:18.6′ × 7.2′(月の0.6倍)
- 等級:8.4
- 星座:りょうけん座
- 観測に適した地域:北半球
- 観察・撮影方法:M106は十分に明るく、10×50の双眼鏡でも淡い光の染みとして見つけることができます。小型望遠鏡では銀河の明るい中心部が見え、大型望遠鏡では渦巻構造も分かるようになります。撮影には中程度の焦点距離がおすすめです。銀河全体を無理なく収められる広さがありながら、明るい中心構造や細長い円盤もきちんと写せます。
- 説明:M106は中間型渦巻銀河です。近傍銀河の中でも特に大きく明るい部類に入り、大きさや光度はアンドロメダ銀河とよく似ています。
黒眼銀河

- 別名:M64、NGC 4826、スリーピングビューティー銀河、イービルアイ銀河
- 見かけの大きさ:10.7′ × 5.1′(月の0.3倍)
- 等級:8.5
- 星座:かみのけ座
- 観測に適した地域:北半球
- 観察・撮影方法:黒眼銀河は、10×50の双眼鏡や小型望遠鏡でも淡く細長い光として見ることができます。この銀河を特徴づける暗いダストレーンを確認するには、大型望遠鏡が適しています。M64の撮影には中程度から長めの焦点距離が最適です。追尾架台を使い、露出時間の異なる複数の画像を合成すると、特徴的な暗いダストバンドを最終画像にはっきり写し出せます。
- 説明:M64は渦巻銀河です。明るい中心核を取り巻く暗いダストバンドにちなんで、この愛称で呼ばれています。アマチュア天文家の間でも人気の高い天体です。
ひまわり銀河

- 別名:M63、NGC 5055
- 見かけの大きさ:12.6′ × 7.2′(月の0.4倍)
- 等級:8.5
- 星座:りょうけん座
- 観測に適した地域:北半球
- 観察・撮影方法:ひまわり銀河は双眼鏡でも見つけることができ、小さくぼんやりした光の染みのように見えます。小型望遠鏡を使えば銀河であることは分かりますが、構造までは見えません。M63は細かなディテールが豊富で、天体写真の撮影対象としてやりがいのある天体です。特別に撮影が難しいわけではありませんが、サイズが小さく中心部が明るいため、淡い外側の構造がかき消されやすく、初心者にはやや難しく感じられるかもしれません。総露出時間を3〜4時間ほど確保すると、渦状部分のより多くのディテールを引き出せます。
- 説明:M63はいわゆる毛羽立った渦巻銀河で、はっきりとした腕を持たない渦巻銀河です。1971年には、この銀河の腕のひとつで11.8等の超新星が観測されました。
くじら銀河

- 別名:NGC 4631、コールドウェル32
- 見かけの大きさ:15.5′ × 2.7′(月の0.5倍)
- 等級:9.8
- 星座:りょうけん座
- 観測に適した地域:北半球
- 観察・撮影方法:くじら銀河は大型双眼鏡でも挑戦できますが、望遠鏡を使うほうが適しています。中型望遠鏡なら、銀河を真横から見た複雑な構造が分かり、中心部、ダスト雲、その中に点在する多数の明るい星団まで観察できます。くじら銀河を撮影する際は、ターゲットの周囲に少し余白を残すのがおすすめです。細長く伸びた形をしているため、きつく切り取るよりも、銀河全体を収めた構図のほうが魅力を生かせます。
- 説明:NGC 4631は棒渦巻銀河です。くさびのような形から「くじら銀河」という愛称で呼ばれています。この銀河は、私たちの天の川銀河とほぼ同じ大きさです。
ミラー銀河

- 別名:M100、NGC 4321、ブロードライヤー銀河
- 見かけの大きさ:7.4′ × 6.3′(月の0.2倍)
- 等級:9.3
- 星座:かみのけ座
- 観測に適した地域:北半球
- 観察・撮影方法:M100は20×80の双眼鏡や小型望遠鏡でも見つけることができ、淡くぼんやりした光の染みのように見えます。中型望遠鏡なら、銀河の明るい中心部が分かります。撮影には少なくとも中程度の焦点距離を使うのがおすすめで、渦状腕のディテールを写したいなら長めの焦点距離がさらに適しています。フレームをきつく切り取りすぎないようにしましょう。少し広めに写せば、NGC 4323やNGC 4328のような近くの伴銀河も収まり、作品に個性的な雰囲気を加えられます。
- 説明:M100は、中間型のグランドデザイン渦巻銀河の鮮やかな代表例です。おとめ座銀河団の中でも特に明るく大きな銀河のひとつで、活発な星形成活動が見られることで知られています。
聖カタリナの輪銀河

- 別名:M99、NGC 4254、かみのけ座の回転花火銀河
- 見かけの大きさ:5.4′ × 4.7′(月の0.2倍)
- 等級:9.9
- 星座:かみのけ座
- 観測に適した地域:北半球
- 観察・撮影方法:M99は小型望遠鏡でも見えますが、明るい中心をもつ淡い光の染みのようにしか見えません。銀河の渦巻構造まで見たいなら、大型望遠鏡を使いましょう。M99は比較的小さく、正面を向いた銀河なので、広視野の機材よりも中程度から長めの焦点距離のほうが適しています。非対称な渦状腕は、写真に撮るととても印象的です。
- 説明:M99は、おとめ座銀河団にあるグランドデザイン渦巻銀河です。やや非対称な形をしており、これは他の銀河との相互作用によるものと考えられています。M99はおとめ座銀河団の中でも比較的明るい渦巻銀河のひとつで、渦巻構造が全面的によく見える向きになっています。そのため、プロにもアマチュアにも人気の高い観測対象となっています。
スピンドル銀河

- 別名:M102、NGC 5866
- 見かけの大きさ:4.7′ × 1.9′(月の0.1倍)
- 等級:9.9
- 星座:りゅう座
- 観測に適した地域:北半球
- 観察・撮影方法:スピンドル銀河は小さく、真横を向いた姿をしているため、小型望遠鏡では見るのが難しい天体です。そのため、観測には大型望遠鏡を使うのがよいでしょう。天体写真では、長めの焦点距離と高精度の追尾が適しています。非常に広い視野で写すのではなく、ややタイトな構図にして、銀河の細くダストを含んだ円盤を引き出せるだけの十分な総露出時間を確保しましょう。
- 説明:NGC 5866はレンズ状銀河で、楕円銀河と渦巻銀河の中間に位置するタイプの銀河です。NGC 5866の特に興味深い特徴のひとつは、広がったダスト円盤を持つことで、これはレンズ状銀河では非常に珍しいものです。中には、真横を向いているために誤って分類された渦巻銀河ではないかと考える科学者もいます。
5月に見たいおすすめの星雲
星雲は、恒星が誕生するガスやちりの巨大な雲、あるいは死んだ恒星の残骸です。星雲は5月の天体写真ターゲットの中でも特に印象的な存在で、特に暗い空の下で観測する人にとって魅力的です。明るい散光星雲は通常、取り組みやすい入門向けのターゲットであり、一方でコンパクトな惑星状星雲は、より高度な機材に向いた対象です。
りゅうこつ座大星雲

- 別名:NGC 3372、コールドウェル92、エータ・カリーナ星雲、りゅうこつ座大星雲
- 見かけの大きさ:120′ × 120′(月の4倍)
- 等級:1.0
- 星座:りゅうこつ座
- 観測に適した地域:南半球
- 観察・撮影方法:りゅうこつ座大星雲は非常に大きく明るいため、肉眼でもぼんやりした光の染みのように見えます。それでも、双眼鏡を使うことをおすすめします。星雲の姿がずっと印象的に見えるからです。30秒程度の露出でも、りゅうこつ座大星雲の驚くほど多くのディテールを写し出せます。星雲の輝くガスをよりはっきりと表現するために、天体写真ではナローバンドフィルターがよく使われ、星雲の輝線を際立たせるのに役立ちます。
- 説明:NGC 3372は、空に見える星雲の中でも最大級のひとつで、オリオン大星雲の4倍もの大きさがあります。星雲の中心近くにはエータ・カリーナがあり、少なくとも2つの恒星からなる系を成しています。そのうち最大の恒星は、太陽のおよそ100倍の質量を持つとされています。これほど大きな恒星は極めてまれです。
NGC 5882

- 別名:ESO 274-7、IC 1108
- 見かけの大きさ:13.98″(月の0.007倍)
- 等級:10.1
- 星座:おおかみ座
- 観測に適した地域:南半球
- 観察・撮影方法:NGC 5882の観測には望遠鏡が最適です。この星雲は、多くの観測者には青緑色に見え、天体写真でもそのように写ります。最もよく見える部分の大きさは、およそ7秒角です。円形のシェル構造をしっかり見るには、口径11インチの望遠鏡で高倍率(250倍以上)を使う必要があります。
- 説明:NGC 5882は、1834年にイギリスの天文学者ジョン・ハーシェルによって発見された惑星状星雲です。
アイリス星雲

- 別名:NGC 7023、コールドウェル4
- 見かけの大きさ:18′ × 18′(月の0.6倍)
- 等級:6.8
- 星座:ケフェウス座
- 観測に適した地域:北半球
- 観察・撮影方法:アイリス星雲は比較的明るい等級ですが、肉眼や双眼鏡では見えません。暗い空の下で、中型から大型の望遠鏡を使うとよく観察できます。天体写真では、倍率を上げすぎるよりも、星雲の青くちりっぽい反射構造を生かして写すほうが一般的です。そのため、この星雲は短めから中程度の焦点距離の機材に適したターゲットです。
- 説明:アイリス星雲は、1794年に天文学者ウィリアム・ハーシェルによって発見された反射星雲です。HD 200775と呼ばれる7.4等星によって照らされています。
5月に見たいおすすめの星団
星団は、重力によって結びついた恒星の集まりです。美しさと構造が見やすく、写真にも収めやすいため、アマチュア天文家にも天体写真愛好家にも優れた観測対象です。
M4

- 別名:NGC 6121、Mel 144
- 見かけの大きさ:26′(月の0.9倍)
- 等級:5.7
- 星座:さそり座
- 観測に適した地域:南半球
- 観察・撮影方法:M4は最も見つけやすい星団のひとつで、明るい恒星アンタレスの近くにあります。双眼鏡でも見えますが、小型から中型の望遠鏡(およそ口径4インチ以上)を使うと、よりはっきり観察できます。M4は球状星団単体のターゲットとして撮影できますが、アンタレスや、へびつかい座ロー分子雲複合体の淡いガスも一緒に収めた広角写真にすると、さらに魅力が増します。星団そのものは比較的撮影しやすいですが、アンタレス周辺の色鮮やかな星雲状の広がりを引き出すには、より暗い空、長い総露出時間、そして地平線から十分な高度が必要です。
- 説明:M4は1745年にフィリップ・ロワ・ド・シェゾーが発見した球状星団です。球状星団として初めて個々の恒星に分解された天体でもあります。
M80

- 別名:NGC 6093、Mel 142
- 見かけの大きさ:10′00″(月の0.3倍)
- 等級:7.8
- 星座:さそり座
- 観測に適した地域:南半球
- 観察・撮影方法:M80は小さいながらも比較的明るい球状星団で、双眼鏡や小型望遠鏡でも観察できます。M80は中心部が非常に密集しているため、眼視観測でも写真撮影でも、ひときわ目立つ印象的な球状星団のひとつです。
- 説明:M80は1781年にシャルル・メシエが発見した球状星団です。メシエはこれを「私がこれまで見た小さな恒星の星団の中でも、最も豊かで最も密集したもののひとつ」と記しました。
M5

- 別名:NGC 5904、Mel 133
- 見かけの大きさ:22′59″(月の0.8倍)
- 等級:6.6
- 星座:へび座頭部
- 観測に適した地域:両半球
- 観察・撮影方法:M5は、球状星団としては珍しく、はっきりと楕円形に見えることが特徴です。星団内で最も明るい恒星はおよそ12等です。M5は双眼鏡でも十分に見えますが、小型から中型の望遠鏡(およそ口径4インチ以上)を使うと、より見ごたえのある姿を楽しめます。撮影もしやすい天体で、眼視観測向けとしての人気が高い一方、写真でも美しい仕上がりになります。特に中程度の焦点距離なら、密集した中心部と周囲の恒星の両方をうまく写せます。
- 説明:M5は1702年にゴットフリート・キルヒによって発見された球状星団です。1791年には、ウィリアム・ハーシェルがこの星団の恒星を初めて個々に分解し、およそ200個を数えました。それから約300年後、ハッブル宇宙望遠鏡が可視光と赤外線のカメラでM5を撮影しました。その画像には、10万個を超える恒星が写っています。
5月の深空天体:よくある質問
深空天体とは何ですか?
深空天体(DSO)とは、銀河、星雲、星団など、太陽系の外にある天体のことです。個々の恒星とは異なり、空の中で広がりをもつ天体、あるいはぼんやりとした天体として見えるのが一般的です。恒星が点の光として見えるのに対し、深空天体はより複雑な構造をもち、小さく淡いものから大きく明るいものまでさまざまです。
深空天体の名前は何を意味しているのですか?
深空天体には、M や NGC といった名前が付けられていることが多く、これは天文学で最も広く使われているカタログ記号の一部です。M は メシエカタログ、NGC は ニュージェネラルカタログ を指します。これらを含む天体の名称についてもっと知りたい方は、こちらの天文カタログ完全ガイドをご覧ください。
5月のおすすめ天体写真ターゲットは?
5月のおすすめ天体写真ターゲットは、観測場所や機材によって異なりますが、特に注目したいのは 南の回転花火銀河、りゅうこつ座大星雲、M4 です。これらは初心者向けの機材でも比較的撮影しやすい天体です。
5月のおすすめ深空天体は?
5月に見られる特に明るい深空天体には、りゅうこつ座大星雲があります。これは等級1.0の巨大な星雲で、肉眼でも見ることができます。南の回転花火銀河は等級7.6の印象的な渦巻銀河で、望遠鏡での観測に最適です。M80は見かけの等級が7.8の高密度な球状星団で、双眼鏡でも観察しやすい天体です。
さらに多くの明るい深空天体はこちらでチェックできます。
5月に見たい・撮りたい深空天体:ポイントまとめ
5月は、観測者にも天体写真愛好家にも、魅力的な深空天体が豊富にそろっています。北半球では銀河シーズンを迎え、ブラックアイ銀河やひまわり銀河のような美しいターゲットを楽しめます。一方、南半球ではりゅうこつ座大星雲や南の回転花火銀河のような壮観な天体を観察・撮影できます。リストにある深空天体を空で探すには、Sky Tonightアプリをご利用ください。さらに、読者に人気のクイズ「この星雲は何?」にもぜひ挑戦してみてください。

月ごとのおすすめ深空天体:年間カレンダー
深空の魅力は5月だけではありません。各月に観測できる宇宙の絶景をチェックしましょう!
