2026年11月の深空天体:観測と天体写真におすすめの対象
11月の夜空には、さまざまな観測者が楽しめる深空天体がそろっています。この記事では、星団、銀河、星雲など、11月の観測と撮影におすすめの深空天体を紹介します。Sky Tonight アプリを使えば、観測地の空で各天体を探し、その場所で見やすい時間を確認できます。
内容
11月の深空天体を観測・撮影する前に月齢を確認
淡い深空天体には、暗い空ほど好条件です。明るい月光はコントラストを下げ、銀河や広がった星雲を見えにくくします。これは眼視観測でも写真でも同じです。
2026年11月の新月は11月9日07:02 UTC、日本時間16:02に起こります。そのため、11月9日前後の夜が、淡い深空天体の観測・撮影に最も適しています。満月は11月24日14:53 UTC、日本時間23:53です。この日前後の夜は、淡い銀河や広がった星雲の観測には不向きです。日本時間はJST(UTC+9)です。
観測地での月の照らされている割合、月の出・月の入りの時刻は、オンライン月カレンダーで確認できます。
11月に肉眼で見たい深空天体
特別な機材がなくても大丈夫です。11月の明るい深空天体の中には、光学機器なしで見えるものがあります。輝く星団から、暗い空に淡い光のしみとして浮かぶ銀河まで楽しめます。日本では北天の対象がおすすめです。小マゼラン雲と、ここで紹介するきょしちょう座の球状星団は日本の地平線上に昇らないため、南半球などへの旅行時の対象になります。
ヒアデス星団

- 別名: Melotte 25, Caldwell 41, Collinder 50
- 天体の種類: 散開星団
- 見かけの大きさ: 5°30′ (11 × 月の視直径)
- 見かけの等級: 0.5
- 星座: おうし座
- 観測に適した地域: 北半球・南半球
ヒアデス星団は、地球に最も近い大きな散開星団で、距離は約150光年です。星々がおうし座の顔にあたる、おなじみのV字形を作っています。明るいオレンジ色のアルデバランは星団の中にあるように見えますが、実際にはずっと手前にあり、ヒアデス星団の一員ではありません。
観測と天体写真のヒント

ヒアデス星団は大きく広がっているため、望遠鏡よりも肉眼や双眼鏡のほうが全体像を楽しめます。暗い空ではV字形を簡単に見分けられます。
撮影には、標準レンズや比較的焦点距離の短い望遠レンズを付けたカメラが適しています。星団の幅は満月の直径10個分以上あるため、望遠鏡の狭い写野では大部分が入りません。アルデバランも構図に入れると、特徴的なV字形が際立ちます。
ペルセウス座α星団

- 別名: Melotte 20, Collinder 39
- 天体の種類: 散開星団
- 見かけの大きさ: 約6° (12 × 月の視直径)
- 見かけの等級: 約1.2
- 星座: ペルセウス座
- 観測に適した地域: 北半球
ペルセウス座α星団は、ペルセウス座で最も明るいミルファクを取り囲む大きな星の集まりです。約550〜600光年先にあり、空の広い範囲を占めています。
観測と天体写真のヒント

暗い場所なら肉眼でも見えますが、双眼鏡を使うと星団の星々がずっと多く見え、豊かな眺めになります。
見かけの大きさが非常に大きいため、広写野の天体写真にぴったりです。長焦点望遠鏡ではなくカメラレンズや短焦点望遠鏡を使うと、ミルファクと周囲の星々を余裕を持って画面に収められます。
小マゼラン雲

- 別名: SMC, NGC 292
- 天体の種類: 矮小銀河
- 見かけの大きさ: 約5° × 3° (10 × 月の視直径)
- 見かけの等級: 約2
- 星座: きょしちょう座
- 観測に適した地域: 南半球
小マゼラン雲は、約20万光年先にある矮小不規則銀河です。近隣の銀河の一つで、南半球では肉眼で見つけやすい対象です。
観測と天体写真のヒント

小マゼラン雲は、暗い場所なら光学機器なしでもよく見えます。双眼鏡では、不規則な形や明るさのむらが分かります。
見かけの大きさが大きいため、広写野の天体写真に最適です。カメラレンズや短焦点屈折望遠鏡を使えば、近くに見えるきょしちょう座47と一緒に写し、南天らしい定番の構図を作れます。
きょしちょう座47

- 別名: NGC 104, Caldwell 106
- 天体の種類: 球状星団
- 見かけの大きさ: 約30′ (1.0 × 月の視直径)
- 見かけの等級: 4.0
- 星座: きょしちょう座
- 観測に適した地域: 南半球
きょしちょう座47は、空で最も明るく大きな球状星団の一つで、約1万3000光年先にあります。南天の人気対象で、小マゼラン雲周辺の広写野写真にもよく登場します。
観測と天体写真のヒント
暗い南天では、きょしちょう座47は肉眼で小さなぼんやりした光のしみに見えます。双眼鏡ならずっと見つけやすく、望遠鏡では外側の星々を分離して見始めることができます。
11月には、南天を代表する魅力的な撮影対象の一つです。中〜長焦点で密集した星々を捉えられますが、明るい中心部が白飛びしないよう注意しましょう。

11月に双眼鏡で見たい深空天体
次の対象は、肉眼で十分に楽しむには暗すぎたり小さすぎたりしますが、一般的な双眼鏡なら観測できます。小型望遠鏡でも美しく見えるものがあります。
M34

- 別名: NGC 1039
- 天体の種類: 散開星団
- 見かけの大きさ: 約35′ (1.2 × 月の視直径)
- 見かけの等級: 5.2–5.5
- 星座: ペルセウス座
- 観測に適した地域: 北半球
M34は約1500光年先にある明るい散開星団です。数百個ほどの星が、満月より少し広い範囲に分布しています。
観測と天体写真のヒント

非常に暗い空なら肉眼で見える可能性もありますが、M34を探すには双眼鏡が最も手軽です。小型望遠鏡を低倍率で使うと、さらに多くの星を分離して見られます。
M34は撮影しやすい対象です。小型望遠鏡や望遠レンズで無理なく画面に収まり、明るい星を写すだけなら極端に長い露光は必要ありません。
M103

- 別名: NGC 581
- 天体の種類: 散開星団
- 見かけの大きさ: 約6′ (0.2 × 月の視直径)
- 見かけの等級: 7.4
- 星座: カシオペヤ座
- 観測に適した地域: 北半球
M103はカシオペヤ座にあるコンパクトな散開星団です。特徴的な三角形、または扇形をしており、天の川の豊かな星野の中にあります。
観測と天体写真のヒント

M103は10×50の双眼鏡で見つけられますが、星をはっきり分離するには望遠鏡が適しています。ルクバーの近くにあるため、比較的探しやすい星団です。
撮影には中程度の焦点距離を使うと、周囲のカシオペヤ座の密集した星野も構図に入れられます。
NGC 362

- 別名: Caldwell 104
- 天体の種類: 球状星団
- 見かけの大きさ: 約13′ (0.4 × 月の視直径)
- 見かけの等級: 6.5
- 星座: きょしちょう座
- 観測に適した地域: 南半球
NGC 362は地球から約3万光年の距離にある球状星団です。天の川銀河の球状星団としては比較的若く、年齢は約100億〜110億年です。
観測と天体写真のヒント

暗い空では、一般的な双眼鏡で小さなぼんやりした光のしみとして見えます。小型望遠鏡は明るい中心部をより明瞭に示しますが、外縁の星を分離し始めるには、より大きな望遠鏡が必要です。
星団そのものを撮影するには、中程度の焦点距離の望遠鏡が適しています。写野を広く取れば、近くに見える小マゼラン雲も一緒に写せます。
11月に望遠鏡で見たい深空天体
11月には、望遠鏡とカメラの長時間露光によって魅力がよく分かる深空天体もあります。これらは暗かったり、小さかったり、面積あたりの明るさである表面輝度が低かったりする対象です。
ファントム銀河

- 別名: M74, NGC 628
- 天体の種類: 渦巻銀河
- 見かけの大きさ: 約10′ × 10′ (0.3 × 月の視直径)
- 見かけの等級: 約9.5
- 星座: うお座
- 観測に適した地域: 北半球・南半球
ファントム銀河は、地球から約3200万光年先にある大きな渦巻銀河です。正面から見える向きと明瞭な渦巻腕のおかげで、渦巻銀河の起源や構造を研究する専門家にも人気の対象となっています。
観測と天体写真のヒント

眼視では、月のない暗い空で望遠鏡を使いましょう。小型望遠鏡でも明るい中心部が見える可能性がありますが、大口径ほど淡い外側の光を捉えやすくなります。
天体写真では、ファントム銀河の魅力がさらに広がります。総露光時間を長くすると、渦巻腕や星形成領域が現れます。広写野の機材より、中〜長焦点望遠鏡が適しています。
NGC 1097

- 別名: Caldwell 67, Arp 77
- 天体の種類: 棒渦巻銀河
- 見かけの大きさ: 約9′ × 6′ (0.3 × 月の視直径)
- 見かけの等級: 約10
- 星座: ろ座
- 観測に適した地域: 南半球
NGC 1097は約4500万〜5000万光年先にある棒渦巻銀河です。明るい中央の棒構造、活動的な銀河核、目立つ湾曲した渦巻腕を持っています。
観測と天体写真のヒント

NGC 1097の眼視観測には望遠鏡が必要です。暗い南天では明るい中心部を捉えられますが、淡い渦巻構造ははるかに難しい対象です。日本では南の地域ほど見やすく、南側の地平線が開けた場所を選ぶことが大切です。
撮影には中〜長焦点望遠鏡を使いましょう。総露光時間を長くすると、棒構造や渦巻腕、淡い外縁部を引き出せます。
クレオパトラの目星雲

- 別名: NGC 1535
- 天体の種類: 惑星状星雲
- 見かけの大きさ: 約20″ (0.01 × 月の視直径)
- 見かけの等級: 9.6
- 星座: エリダヌス座
- 観測に適した地域: 北半球・南半球
クレオパトラの目(NGC 1535)は、寿命の終わりを迎えた星が放出したガスからできた小さな惑星状星雲です。小型ながら表面輝度が比較的高く、高倍率で楽しめる対象です。
観測と天体写真のヒント

周囲の恒星と見分けるには、望遠鏡を中〜高倍率で使います。条件が良ければ、小さな青緑色の円盤が見えるかもしれません。
撮影の難しさは、見かけの大きさがとても小さいことです。広い写野よりも、長焦点望遠鏡と大気の揺らぎが少ない良好なシーイングが重要になります。
ハート星雲

- 別名: IC 1805, Sh2-190
- 天体の種類: 散光星雲(輝線星雲)
- 見かけの大きさ: 約2.5° × 2.5° (5 × 月の視直径)
- 見かけの等級: 信頼できる値は未確定
- 星座: カシオペヤ座
- 観測に適した地域: 北半球
ハート星雲は、地球から約7500光年先にある大きな輝線星雲です。中心にある高温の星々から吹く恒星風が、特徴的な形を作っています。
観測と天体写真のヒント

ハート星雲は表面輝度が非常に低く、眼視観測は難しい対象です。暗い空、広視野の望遠鏡、星雲フィルターを組み合わせると、一部を捉えられる可能性が高まります。
一方、天体写真ではIC 1805は11月を代表する対象です。大きく広がるため、広写野の望遠鏡や望遠レンズが向いています。Hαフィルターやデュアルバンドフィルターを使うと、星雲が際立ちます。十分に広い写野なら、隣のソウル星雲も一緒に写せます。
NGC 1333

- 別名: Ced 16, 胎児星雲
- 天体の種類: 反射星雲
- 見かけの大きさ: 約6′ × 3′ (0.2 × 月の視直径)
- 見かけの等級: 約10–11
- 星座: ペルセウス座
- 観測に適した地域: 北半球
NGC 1333はペルセウス座分子雲にある反射星雲で、活発に星が生まれている領域でもあります。距離は約1000光年です。青い反射星雲の周囲を暗い塵や若い星々が取り囲んでいます。
観測と天体写真のヒント

NGC 1333は眼視観測が難しい対象です。最も明るい部分を捉えるにも望遠鏡と十分に暗い空が必要で、月のない夜が大きな助けになります。
天体写真では、さらに豊かな姿を楽しめます。ブロードバンド撮影で、青い反射星雲と周囲の暗い塵の構造を一緒に捉えられます。
11月の深空天体:よくある質問
深空天体とは?
「深空天体」(DSO)は、主にアマチュア天文家が使う用語で、太陽系の外にある、単独の恒星以外の天体を指します。銀河、星雲、超新星残骸、星団などが含まれます。星雲には輝線星雲・反射星雲・暗黒星雲が、星団には散開星団・球状星団があります。
11月に望遠鏡なしで見える深空天体は?
条件が合えば、11月の明るい深空天体のいくつかは肉眼で見えます。代表例はヒアデス星団、ペルセウス座α星団、きょしちょう座47、小マゼラン雲です。見えるかどうかは緯度と光害に大きく左右されます。日本からは前の2つを観測でき、後ろの2つは地平線上に昇りません。
11月の天体写真におすすめの対象は?
初心者に向く対象は、ヒアデス星団、ペルセウス座α星団、M34、きょしちょう座47、小マゼラン雲です。ただし、観測地の緯度で見えるものを選びましょう。
経験を積んだ方は、ハート星雲、ファントム銀河、NGC 1097、NGC 1333、クレオパトラの目星雲に挑戦してみてください。
適した対象は機材によっても変わります。ヒアデス星団やハート星雲のように広がった対象は広写野撮影向きで、クレオパトラの目のように小さな対象には長い焦点距離が有利です。
銀河とは?
銀河は、星、ガス、塵、ダークマターが重力で結び付いた巨大な集まりです。形や大きさはさまざまで、渦巻銀河、楕円銀河、不規則銀河などがあります。有名な例はアンドロメダ銀河で、私たちに最も近い大型の銀河であり、北半球から肉眼で見えます。私たちの天の川銀河も渦巻銀河で、太陽を含む数千億個の星を持っています。
星雲とは?
星雲は、宇宙に広がる巨大なガスと塵の雲です。オリオン大星雲やハート星雲などは星が生まれる領域ですが、クレオパトラの目のような惑星状星雲は、寿命の終わりを迎えた星が放出したガスからできます。成分や星の光との関わり方によって、輝線星雲、反射星雲、暗黒星雲などに分かれます。
星団とは?
星団は、同じ分子雲から生まれ、重力で結び付いている星の集まりです。主な種類は2つあります。プレアデス星団のような散開星団は若い星々が比較的まばらに集まり、きょしちょう座47のような球状星団は星々が密集し、ずっと古い年齢を持っています。
NGCやMは何を意味する?
これらの文字は、夜空の天体を識別・整理するための天体カタログに由来します。Mはメシエカタログを表し、18世紀のフランスの天文学者シャルル・メシエが作成しました。アンドロメダ銀河(M31)やオリオン大星雲(M42)など、北半球で見える有名な天体が収められています。NGCはNew General Catalogueの略で、後の19世紀に編纂されました。
これらのカタログができた経緯や現在の使われ方については、基本的な天体カタログの解説をご覧ください。
今夜の深空天体を見つけるには?
すばやく探すには、天文アプリ Sky Tonight が便利です。メイン画面の虫眼鏡アイコンをタップし、検索欄に「プレアデス星団」や「M45」など、天体名やカタログ番号を入力して、青い照準アイコンをタップします。メイン画面に戻ると、星図にその天体の現在位置が表示されます。端末を空に向けて白い矢印をたどれば、実際の空での位置が分かります。画面右下の大きな青いボタンをタップすると、ARモードも利用できます。
深空天体の観測に役立つヒント
より充実した観測のために、次の点を意識しましょう。
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観測は事前に計画しましょう。長時間暗い空が続く夜を選ぶと便利です。撮影に数時間かかることもある天体写真では、特に重要になります。Sky Tonight のカレンダーにある「空」タブが計画に役立ちます。動画でカレンダーの全機能も確認できます。
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観測地で見える深空天体のリストを作り、位置、明るさ、見やすい時間を記録しましょう。星図、天文書、オンライン資料、天文アプリを活用できます。Sky Tonight なら、その場所で見える天体の一覧を数秒で表示できます。画面下の望遠鏡アイコンをタップして「今夜の見どころ」画面を開きます。フィルターで深空天体だけを表示し、種類、名前順、日付、等級で並べ替えられます。
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光害の少ない場所を選びましょう。空が暗いほど、多くのものが見えます。深空天体は淡いことが多く、探すにも観察するにも時間がかかります。焦らず、目を暗さに慣らしてください。淡い対象を見るのに役立つそらし目も試しましょう。
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機材を調整するときは赤いライトを使いましょう。暗さに慣れた目の状態を保ちやすくなります。
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暖かい服装をして、温かい飲み物も用意しましょう。特に長時間じっとしていると、夜は体が冷えます。
11月の深空天体:まとめ
11月には、どの経験レベルでも楽しめる対象があります。ヒアデス星団、ペルセウス座α星団、きょしちょう座47、小マゼラン雲は肉眼で、M34、M103、NGC 362は双眼鏡で楽しめます。より難しいファントム銀河、NGC 1097、クレオパトラの目、ハート星雲、NGC 1333には望遠鏡を使いましょう。ただし、日本から小マゼラン雲やきょしちょう座の球状星団は見えません。緯度に合う対象を選んでください。
これらの多くは天体写真にも適しており、広写野で写す大きな星団から、小さな銀河や星雲まで楽しめます。
2026年11月の暗い空を狙うなら、11月9日の新月前後に観測を計画しましょう。Sky Tonight を使えば、各対象を探し、観測地に合った時間を選べます。
月別のおすすめ観測・撮影対象:年間カレンダー
ディープスカイの魅力は11月だけではありません。月別ガイドで、毎月の宇宙の見どころを探してみましょう。
