2025年11月の深空天体のおすすめ
11月は、明るい星座がいくつも昇る季節で、深空天体の観察に絶好の機会です。双眼鏡でも望遠鏡でも、晴れた夜には必ず何か魅力的な天体を見つけられるでしょう。この記事では、銀河や星団など、11月に見られる注目の深空天体を紹介します。各天体の位置はSky Tonightアプリで簡単に確認できます。アプリをダウンロードして、天文探検を始めましょう!
内容
- 肉眼でも見える11月のおすすめ深空天体
- 双眼鏡で楽しむ11月のおすすめ深空天体
- 望遠鏡で楽しむ11月のおすすめ深空天体
- 11月の深空天体のおすすめ:よくある質問
- 深空天体の見方
- 11月の深空天体:まとめ
肉眼でも見える11月のおすすめ深空天体
特別な機材がなくても大丈夫!11月には、輝く星団や淡く光る銀河など、肉眼でも見られる天体がいくつかあります。
きょしちょう座47

- 別名:NGC 104、Caldwell 106
- 見かけのサイズ:30′(満月と同じ大きさ)
- 見かけの等級:4.0
- 星座:きょしちょう座
- 見るのに最適な場所:南半球
- 見方:肉眼では小さな明るい光の斑点として見え、小マゼラン雲の近くにあります。双眼鏡を使うとぎゅっと詰まった輝く球体として見え、望遠鏡では無数の星々が密集した中心部が確認できます。
- 解説:きょしちょう座47は、空で最も明るく大きい球状星団のひとつで、地球からおよそ1万3,000光年離れています。南半球の代表的な観測対象として人気が高く、小マゼラン雲周辺の広角天体写真にもよく登場します。
アンドロメダ銀河

- 別名:M31、NGC 224
- 見かけのサイズ:3° × 1° (6 x 満月)
- 見かけの等級:3.4
- 星座:アンドロメダ座
- 見るのに最適な場所:北半球
- 見方:肉眼で見ると、アンドロメダ銀河は小さな細長い光の斑点のように見えます。その形状や明るい中心部を詳しく観察するには、10x50の双眼鏡や小さな望遠鏡を使うのがおすすめです。
- 解説:アンドロメダ銀河は、地球から約250万光年離れた場所にある渦巻銀河です。局部銀河群に属しており、肉眼で見える最も遠い天体のひとつとして知られています。
小マゼラン雲

- 別名:SMC、NGC 292
- 見かけのサイズ:5° × 3° (10 x 満月)
- 見かけの等級:2.1
- 星座:きょしちょう座
- 見るのに最適な場所:南半球
- 見方:小マゼラン雲は、肉眼でも空に広がるかすかな「霧」のように見えます。晴れていて月のない夜に観測するのが最適です。10x50の双眼鏡を使えば、小マゼラン雲が無数の星や星団から構成されていることがわかります。
- 説明:小マゼラン雲は、不規則な形をした矮小銀河で、地球から約20万光年離れた場所に位置しています。これは最も近い外部銀河の一つ(約20万光年離れた位置)であり、南半球から肉眼で容易に観測できる天体です。
プレアデス星団

- 別名:M45、すばる
- 見かけのサイズ:1°50' (3.7 x 満月)
- 見かけの等級:1.2
- 星座:おうし座
- 見るのに最適な場所:両半球
- 見方:プレアデス星団は肉眼で簡単に見えます。暗い空の下では、少なくとも6つの星が「小さなひしゃく」のような形を作っているのがわかります。双眼鏡や望遠鏡を使えば、より暗い星やそれらを取り巻く星雲を見ることができます。
- 説明:プレアデス星団は、地球から約444光年離れた場所にある散開星団です。最も近い星団の一つであり、地球に最も近いメシエ天体です。
ヒアデス星団

- 別名:Caldwell 41、Cr 50、Mel 25
- 見かけのサイズ:5°30′ (11 x 満月)
- 見かけの等級:0.5
- 星座:おうし座
- 見るのに最適な場所:両半球
- 見方:ヒアデス星団は、近くにあるプレアデス星団よりも名目上は明るいですが、非常に広がっているため、肉眼ではあまり目立ちません。視野が直径7°から9°の双眼鏡で観測するのが最適です。
- 説明:ヒアデス星団は、地球からわずか150光年離れた場所にある散開星団で、最も近く、最もよく研究されている星団の一つです。
双眼鏡で楽しむ11月のおすすめ深空天体
望遠鏡がなくても大丈夫。双眼鏡があれば、今月の夜空を十分に探検できます。郊外の空でも見つけやすい、明るく大きな散開星団や星雲がいくつもあります。
亜鈴状星雲(あれいじょう星雲)

- 別名:M27、NGC 6853、リンゴの芯星雲
- 見かけのサイズ:8.0′ × 5.6′ (0.3 x 満月)
- 見かけの等級:7.4
- 星座:こぎつね座
- 見るのに最適な場所:北半球
- 見方:亜鈴状星雲は非常に明るく、アマチュア天文観測にも適しています。完全に暗い空の下では、10x50や15x70の双眼鏡でも観察できますが、小さな望遠鏡を使う方がより良いでしょう。
- 説明:亜鈴状星雲は、地球から約1,360光年離れた場所にある惑星状星雲です。1764年にシャルル・メシエによって観測され、この種の天体として初めて発見されました。この星雲は不規則な球体の形をしており、半分かじられたリンゴのように見える明るい部分があります。そのため、「リンゴの芯星雲」とも呼ばれることがあります。
NGC 362

- 別名:Caldwell 104
- 見かけのサイズ:12′54″(0.4 x 満月)
- 見かけの等級:6.5
- 星座:きょしちょう座
- 見るのに最適な場所:南半球
- 見方:8×40または10×50の双眼鏡で観察できます。少しぼやけた「星」のように見えますが、暗く澄んだ空では肉眼でも確認できることがあります。
- 説明:NGC 362は、地球から約3万光年離れた場所にある球状星団です。銀河系の中では比較的若い星団で、その年齢はおよそ100〜110億年と推定されています。
さんかく座銀河

- 別名:M33、NGC 598
- 見かけのサイズ:1° × 41' (2 x 満月)
- 見かけの等級:5.7
- 星座:さんかく座
- 見るのに最適な場所:北半球
- 見方:さんかく座銀河は、肉眼で見える最も遠い天体の一つです。ただし、理想的な観測条件と鋭い視力が必要です。双眼鏡や小さな望遠鏡を使えば、はるかに簡単に観測できます。
- 説明:さんかく座銀河は、地球から約270万光年離れた場所にある渦巻銀河です。その名前は銀河の形ではなく、観測できる「さんかく座」に由来しています。M33は、アンドロメダ銀河と天の川銀河に次いで局所銀河群で3番目に大きな銀河です。
オリオン大星雲

- 別名:M42、NGC 1976、オリオン星雲
- 見かけのサイズ:1°30' × 1° (3 x 満月)
- 見かけの等級:4.0
- 星座:オリオン座
- 見るのに最適な場所:両半球
- 見方:オリオン大星雲は、肉眼ではかすかな「星」のように見えます。双眼鏡を使うと、左右に広がる2つの「翼」を持つ大きなかすんだ斑点として観察できます。望遠鏡を使えば、トラペジウム星団として知られる星雲内の最も明るい4つの星を見ることができます。オリオン大星雲は、天体写真の人気がある目的の一つです。
- 説明:オリオン大星雲は、地球から1,300光年離れた天の川銀河にある散光星雲です。地球に最も近い大規模な恒星形成領域です。
二重星団(にじゅう星団)

- 別名:NGC 869とNGC 884、Caldwell 14
- 見かけのサイズ:1° (2 x 満月)
- 見かけの等級:3.7
- 星座:ペルセウス座
- 見るのに最適な場所:北半球
- 見方:二重星団は、郊外の比較的暗い空であれば肉眼で見えます。天の川の一部がぼんやりと「切り離された」ように見えるのが特徴です。10x50の双眼鏡を使うと、この天体が2つの独立した星団から構成されていることがわかります。
- 説明:二重星団は、2つの散開星団から成り、地球から約7,500光年離れた場所にあります。NGC 869(hペルセウス)が二重星団の西半分を、NGC 884(χペルセウス)が東半分を形成しています。
望遠鏡で楽しむ11月のおすすめ深空天体
11月は、銀河や星雲の魅力が望遠鏡を通して最も際立つ季節です。 これらの天体は肉眼では淡く見えますが、暗い空と少しの忍耐があれば、銀河系のはるか彼方に広がる繊細な構造や遠い世界を観察できます。
NGC 1365

- 別名:Great Barred Spiral Galaxy、UGC 5887
- 見かけのサイズ:11′ × 6.2′(満月の約0.35倍)
- 見かけの等級:10.3
- 星座:ろ座
- 見るのに最適な場所:南半球
- 見方:この銀河を観察するには、口径200mm(8インチ)以上の望遠鏡と暗い空が必要です。小型望遠鏡では明るい中心部とバー構造のみが見えます。
- 説明:NGC 1365は、地球から約5,600万光年離れた位置にある二重バーを持つ渦巻銀河です。中央に目立つバー構造と左右対称の美しい渦巻腕で知られています。
NGC 891

- 別名:Caldwell 23
- 見かけのサイズ:13.5′ × 2.5′ (0.45 x 満月)
- 見かけの等級:10.0
- 星座:アンドロメダ座
- 見るのに最適な場所:北半球
- 見方:この銀河は双眼鏡ではよく見えません。少なくとも口径100mmの望遠鏡を使用し、光害の少ない場所を選ぶことをお勧めします。
- 説明:NGC 891は、アンドロメダ座に位置する地球から約3,000万光年離れた渦巻銀河です。NGC 1023銀河群の一員と見なされることがありますが、その所属はまだ確定していません。地球からはほぼ真横の角度で見えるため、銀河円盤を横切る暗い塵の帯が特徴的に見えます。その姿は、私たちの天の川銀河を外側から見たような印象を与えます。
NGC 4945

- 別名:Caldwell 83
- 見かけのサイズ:20′ × 3.8′(0.6 x 満月)
- 見かけの等級:9.3
- 星座:ケンタウルス座
- 見るのに最適な場所:南半球
- 見方:中型〜大型の望遠鏡で最もよく見えます。細長く明るい光の帯のように見えるのが特徴です。
- 説明:NGC 4945は、地球から約1,100万光年離れた渦巻銀河です。ケンタウルス座銀河群の中で最も明るい銀河のひとつであり、天の川銀河に似た構造を持っています。活発な星形成領域と強力な銀河核を有する、南天で人気の観測対象です。
ファントム銀河

- 別名:M74、NGC 628
- 見かけのサイズ:10.5′ × 9.5′ (0.3 x 満月)
- 見かけの等級:9.3
- 星座:うお座
- 見るのに最適な場所:両半球
- 見方:ファントム銀河は表面輝度が非常に低いため、観測が難しいです。完全に暗い空の下で、口径200mm以上の望遠鏡を使って観察するのが理想的です。もし、DSLRカメラと望遠鏡を持っている天体写真家であれば、低い表面輝度にもかかわらず、この銀河の美しい写真を撮影することができます。
- 説明:ファントム銀河は、地球から約3,200万光年離れた場所に位置する大きな渦巻銀河です。その正面向きの配置と明確な渦巻腕のおかげで、渦巻銀河の起源や構造を研究するプロの天文学者にとって人気のターゲットとなっています。
ちょうこくしつ座銀河

- 別名:NGC 253、銀ダラー銀河
- 見かけのサイズ:27.5′ × 6.8′ (0.9 x 満月)
- 見かけの等級:8.0
- 星座:ちょうこくしつ座
- 見るのに最適な場所:南半球
- 見方:ちょうこくしつ座銀河は、10x50の双眼鏡で観察すると、ぼんやりとした細長い光の斑点として見えます。その構造を詳しく見るには、口径300mm以上の望遠鏡を使用するのがおすすめです。
- 説明:ちょうこくしつ座銀河は、地球から約1,140万光年離れた場所にある中間型渦巻銀河です。地球からはほぼ横向きに位置していますが、その渦巻構造は確認することができます。
ハート星雲

- 別名:IC 1805、Sh2-190
- 見かけのサイズ:2.5° x 2.5° (5 x 満月)
- 見かけの等級:6.5
- 星座:カシオペヤ座
- 見るのに最適な場所:北半球
- 見方:ハート星雲は比較的表面輝度が低いため、大口径の望遠鏡や長時間露光の撮影がなければ観測が難しいです。天体写真家は、よくその隣にあるソウル星雲(IC 1848)と一緒に撮影します。これらは「ハートとソウル」と呼ばれています。
- 説明:ハート星雲は、地球から約7,500光年離れた場所にある大きな散光星雲です。この星雲の特徴的な形は、中心にある高温の恒星から吹き出す星風によって作られています。
11月の深空天体のおすすめ:よくある質問
深空天体とは?
深空天体(英語:Deep-sky object, DSO)という用語は、天文学者によって、個々の恒星ではない太陽系外の天体を表すために使用されます。深空天体には、**銀河、星雲(発光星雲・反射星雲・暗黒星雲)、超新星残骸、そして星団(散開星団・球状星団)**が含まれます。
銀河とは?
銀河とは、星・ガス・塵・暗黒物質が重力によって結びついた巨大な系です。形や大きさにはさまざまな種類があり、渦巻銀河・楕円銀河・不規則銀河などに分類されます。代表的な例が、私たちの銀河系のすぐ隣にあるアンドロメダ銀河で、北半球では肉眼でも見える大銀河として知られています。私たちの天の川銀河も同じく渦巻銀河で、太陽を含む数千億もの星々が存在しています。
星雲とは?
星雲は、宇宙空間に広がるガスと塵の巨大な雲です。たとえばオリオン大星雲のように新しい星が誕生する領域もあれば、ハート星雲のように若く巨大な星の放射や恒星風によって形作られるものもあります。星雲は、成分や星の光との関わり方によって、発光星雲・反射星雲・暗黒星雲の3つのタイプに分けられます。
星団とは?
星団は、同じ分子雲から生まれ、重力で結びついている星々の集まりです。主に2種類があり、プレアデス星団のように若い星がゆるやかに集まった散開星団と、M92やきょしちょう座47のように古い星が密集している球状星団があります。
NGCとMの意味とは?
これらの文字は、天文学で使われる天体カタログに由来します。Mは18世紀のフランスの天文学者シャルル・メシエが作成したメシエカタログを指し、北半球から見える有名な天体が多く含まれています(例:アンドロメダ銀河 M31、オリオン大星雲 M42)。一方、NGCは19世紀にまとめられた新総合カタログを意味し、星雲・銀河・星団など数千もの天体を収録しています(例:上で紹介したNGC 362やNGC 1365など)。
天体カタログの成り立ちや、現代の天文学でどのように利用されているかを詳しく知りたい方は、天文カタログの基礎の記事をご覧ください。
深空天体の見つけ方
深空天体をすばやく見つけるには、天文アプリSky Tonightを使うのが一番便利です。興味のある天体を見つけるには、メイン画面の拡大鏡アイコンをタップし、検索フィールドに天体の名前またはカタログ名(例えば「プレアデス星団」や「M45」など)を記入し、青いターゲットアイコンをタップします。アプリはメイン画面に戻り、空の地図上に天体の現在位置を表示します。デバイスを上に向け、白い矢印をたどって上空の天体の位置を確認してください。画面右下の大きな青いボタンをタップして、ARモードを起動することもできます。
深空天体の見方
ここでは、観測体験を向上させるためのヒントをいくつか紹介します:
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事前に観測の計画を立てましょう。空が暗くなる時間が長い夜を選ぶとよいです。これは天体写真家にとって特に重要で、撮影には数時間かかることもあります。Sky Tonightのカレンダーの「空」タブが計画に役立ちます(このビデオを見て、カレンダーのすべての機能を学んでください)。
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現在地から見える天体をリストアップします。場所、明るさ、観察に最適な時間など、詳細を含めます。星座早見盤、天文書籍、オンラインリソース、天文アプリを利用しましょう。Sky Tonightを使えば、現在地から観測できる天体のリストを数秒で取得できます。画面下の望遠鏡アイコンをタップすると、Visible Tonightセクションが表示されます。深空天体だけが表示されるようにフィルタを調整し、種類別、アルファベット順、日付順、等級順に並べ替えることができます。
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深空天体を観察するには、光害の少ない場所がベストです。空が暗ければ暗いほど、より多くの天体を見ることができます。深空天体は暗いことが多く、場所を特定して観察するのに時間がかかることがあります。辛抱強く、目が暗闇に慣れるのを待ちましょう。また、そらし目という特殊なテクニックを使うと、暗い対象を観察するときに役立ちます。
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装備の調整中は、赤い懐中電灯を使いましょう。夜間視力を維持するのに役立ちます。
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暖かい服装と温かい飲み物を持参することをお忘れないでください。夜間は冷え込むことがあり、特に長時間立っている場合は注意が必要です。
11月の深空天体:まとめ
11月は、最も有名で明るい星団の一つであるプレアデス星団とヒアデス星団を観測する絶好の時期です。二重星団、オリオン大星雲、アンドロメダ銀河と合わせて、肉眼でも見つけられますが、光学機器を使うとさらに詳細が見えるでしょう。Sky Tonightアプリを使って、夜空のこれらの天体を探してみましょう。
月ごとのおすすめ深空天体:年間カレンダー
深空の魅力は11月だけではありません。各月に観測できる宇宙の絶景をチェックしましょう!
