9月の夜空ガイド:見つけたいおすすめの星座と恒星
見逃さないで!こちらは9月の夜に最もよく見える10の星座です。Star Walk 2アプリのAR星図でも、クラシックな星図でも、このガイドが9月の天体観測に役立ちます。
目次
はじめに
毎月おすすめの星座をご紹介するシリーズへようこそ!9月に特によく見える星座には、わし座・はくちょう座・やぎ座・くじゃく座などがあります。
公式に認められている88の星座を、空で最も観測しやすい時期に基づいて12のグループ(各月ごと)に分けました。星座が「観測しやすい」とされるのは、その星座が現地時間の午後9時ごろに子午線を通過する月です。言い換えれば、その月が、その星座が夜空で最も高い位置(南中)に達する時期ということです。
それでは、9月の代表的な星座を、最も明るい星座(☆☆☆)から最も淡い星座(☆)まで順番に見ていきましょう。これらの星座を数秒で見つけたいなら、無料の天文アプリ Star Walk 2を活用してください。
9月に明るく見える星座
わし座
- 明るさ:☆☆☆
- 観測できる緯度範囲:北緯85°〜南緯75°
- 一番明るい星:アルタイル(0.8等級)
- おすすめの星雲・星団:NGC 6751(12等級)、NGC 6709(6.7等級)

9月の夜空でのわし座の見つけ方
わし座は夏の大三角の一角を形成しており、残りの二角はこと座(ベガ)とはくちょう座(デネブ)です。天の川がこの星座を横切っています。
北半球では、南の高い空にアルタイルを探しましょう。アルタイルの両脇にはタラゼドとアルシャインが並び、わしの「頭」を形作っています。天の川を南へたどると、わし座の細長い形が見えてきます。
南半球では、日没後に北の空を見上げましょう。アルタイルは空の中ほどに輝きます。天の川を目印にすると見つけやすく、近くには小さな星座の矢座といるか座があり、星をたどる助けになります。
わし座についてのさらなる興味深い事実は、特集記事でご紹介しています。
わし座の神話
ギリシャ神話では、わし座はゼウスの鷲です。彼の稲妻を運び、使者として仕えました。ある物語では、この鷲がガニメデをオリンポスへ連れて行き、彼が神々の給仕役となります。
別の物語では、この鷲がプロメテウスを苦しめ、やがてヘラクレスが矢を放って彼を救います。その矢を表すのが近くの星座矢座です。この鷲を讃え、物語を後世に伝えるために、神々は夜空にわし座を置いたと伝えられています。
はくちょう座
- 明るさ:☆☆☆
- 観測できる緯度範囲:北緯90°〜南緯40°
- 一番明るい星:デネブ(1.2等級)
- おすすめの星雲・星団:網状星雲(7等級)、北アメリカ星雲(4等級)

9月の夜空ではくちょう座を見つける方法
はくちょう座は、星々が天の川に沿って横たわる北十字アステリズムを形作っているため、空で見つけやすい星座です。この十字は、はくちょう座の最も明るい星々(デネブ、サドル、ギエナ、デルタ星、アルビレオ)から成り立っています。十字の「頭」にあたるデネブは夏の大三角の一角でもあります。星座のパターンでは、デネブがはくちょうの尾を、アルビレオがくちばしを示しています。
北半球では、日没後に頭上高くを探しましょう。明るいデネブを見つけ、そこからサドルを経てアルビレオまで一直線にたどってください。この長いラインは、おおよそわし座のアルタイルの方向を指しています。
南半球では、北の空を見上げましょう。北十字は横倒しになって、地平線の上に低く見えます。天の川の帯を目印にすれば、はくちょうの翼をたどることができます。
はくちょう座の神話
よく知られている神話のひとつは、パエトンの友人(または親族)であるキュクノス(Cycnus)の物語です。パエトンが太陽の戦車を制御できずに地上へ落下した後、キュクノスは彼の亡骸を探して川をさまよい、嘆き悲しみました。神々はその姿に哀れみを感じ、キュクノスを白鳥へと変身させ、水面を優雅に舞えるようにしました。そして彼を夜空の星々の中にはくちょう座として置いたのです。
別の神話では、この白鳥はゼウスが姿を変えたものだとされます。ゼウスは白鳥に化けてレダに近づき、この結びつきからトロイのヘレンをはじめとする有名な子どもたちが生まれました。
やぎ座
- 明るさ:☆☆
- 観測できる緯度範囲:北緯60°〜南緯90°
- 一番明るい星:デネブ・アルゲディ(2.8等級)
- おすすめの星雲・星団:M30(7.5等級)

9月の夜空でのやぎ座の見つけ方
やぎ座はいて座とみずがめ座の間に位置し、黄道十二星座のひとつです。やぎ座は最も暗い黄道星座のひとつなので、観測には澄んだ暗い夜を選びましょう。都市部など空が明るい場所では、双眼鏡を使って星を個別に探すのがおすすめです。
やぎ座を見つけるには、空に描かれる大きな三角形を探してください。一方の頂点はアルゲディの星で、もう一方は星座で最も明るいデネブ・アルゲディです。星座で7番目に明るいオメガ星が三角形を完成させます。
北半球では、夕方早い時間に南の空を見ましょう。三角形は地平線の低い位置に見えます。
南半球では、北の空高くを探してください。三角形はわし座の上に位置しています。
やぎ座の神話
やぎ座は「海の山羊」で、上半身は山羊、下半身は魚の姿をしています。ギリシャ神話の一説では、神パンと結びつけられています。怪物テュポーンが神々を襲ったとき、パンは逃れるために川へ飛び込みました。水上に出ていた部分は山羊のままで、水中に入った部分は魚へと変わりました。危機が去った後、ゼウスはこの賢い変身を讃え、シーゴートを夜空に配置したと伝えられています。
くじゃく座
- 明るさ:☆☆
- 観測できる緯度範囲:北緯15°〜南緯90°
- 一番明るい星:ピーコック(1.9等級)
- おすすめの星雲・星団:NGC 6752(5.4等級)

9月の夜空でのくじゃく座の見つけ方
この星座は南半球の観測者に有利です。月明かりのない暗い夜に南の空を見上げ、みなみのさんかく座の東、インディアン座の南を探すと、明るい星ピーコックが輝いています。
北半球のほとんどの地域では、くじゃく座は地平線の上に昇りません。見える地域でも、南の地平線すれすれに位置するため、平坦で遮るもののない地平線が必要です。
くじゃく座の神話
くじゃく座はギリシャ神話の孔雀にちなんで名づけられ、女神ヘラの聖なる鳥を讃えています。神々の女王ヘラがゼウスとイオを見つけかけたとき、ゼウスはイオを白い牝牛に変えました。ヘラは百の目を持つ巨人アルゴスを彼女の番人にしましたが、ゼウスの命を受けたヘルメスがアルゴスを眠らせ、殺してしまいます。その後ヘラは、アルゴスの目を孔雀の尾に散りばめたと伝えられています。
もっとも、くじゃく座そのものは古代ギリシャの星座ではなく、16世紀に南半球を探検した航海者や地図制作者によって星図に加えられた星座です。その名前は神話的なつながりを保ち続け、夜空の孔雀としてヘラの鳥を讃えています。
9月に淡く見える星座
インディアン座
- 明るさ:☆
- 観測できる緯度範囲:北緯25°〜南緯90°
- 一番明るい星:インディアン座α星(3.1等級)
- おすすめの星雲・星団:NGC 7049(10.6等級)

いるか座
- 明るさ:☆
- 観測できる緯度範囲:北緯90°〜南緯70°
- 一番明るい星:ロタネフ(3.6等級)
- おすすめの星雲・星団:NGC 6934(9.7等級)

や座
- 明るさ:☆
- 観測できる緯度範囲:北緯90°〜南緯70°
- 一番明るい星:や座γ星(3.5等級)
- おすすめの星雲・星団:M71(8.2等級)

こうま座
- 明るさ:☆
- 観測できる緯度範囲:北緯90°〜南緯70°
- 一番明るい星:キタルファ(3.9等級)
- おすすめの星雲・星団:NGC 7040(15等級)

こぎつね座(Vulpecula)
- 明るさ:☆
- 観測できる緯度範囲:北緯90°〜南緯55°
- 一番明るい星:アンセル(4.4等級)
- おすすめの星雲・星団:亜鈴状星雲(M27、7.4等級)、NGC 6940(6.3等級)

けんびきょう座
- 明るさ:☆
- 観測できる緯度範囲:北緯45°〜南緯90°
- 一番明るい星:けんびきょう座γ星(4.7等級)
- おすすめの星雲・星団:NGC 7060(13.7等級)

天文観測のプロ・ヒント
- 観測に最適な時間:現地時間の午後9時〜午前2時。北半球(初秋)では、夏至の頃よりも暗くなる時間が早くなります。南半球(初春)では、まだ夜が長く暗い時間が続きます。
- 月の位相:2025年9月21日の新月前後に観測計画を立てましょう。特に9月20日〜22日の夜は、網状星雲や北アメリカ星雲といった淡い星雲の観測に最適です。
- さらに学ぶ:9月に起こる天文現象をすべて知りたい方は、9月の夜空ガイドをご覧ください。有名な星の見つけ方(北極星、シリウス、アルクトゥールスなど)を解説したインフォグラフィックもおすすめです。

9月の夜空でさらに見られるもの
- 夏の大三角(ベガ・デネブ・アルタイル)は宵の空に輝きます。巨大な目印として使いましょう:デネブははくちょう座、アルタイルはわし座を示し、その間にはや座・いるか座・こぎつね座が位置しています。
- 天の川もまだ壮観です。双眼鏡をはくちょう座やわし座の方向に向けると、暗黒帯や星の雲を見分けることができます。
- 9月はアンドロメダ銀河(M31)を観測する最良の時期です。9月初旬は夜の中頃に、9月下旬から10月初旬には日没後の東の空、真夜中には天頂付近、そして明け方には西の高い空に見えます。暗い空なら肉眼でも見える可能性があり、双眼鏡を使えばさらに簡単に見つけられます。
- 2025年のブラッドムーン:9月7日に皆既月食が起こり、オーストラリア・ヨーロッパ・アフリカ・アジアの数十億人が赤く染まる月を目撃できます。あなたの地域でブラッドムーンが見えるかどうかをチェックしてください。
- 9月にはもう一つの食も!9月21日、秋分に近い時期に部分日食が起こります。主に**南半球の遠方(ニュージーランド・南太平洋・南極)**の日の出時に見られます。「秋分の日食」がいつ・どこで見られるのかを紹介した記事もご覧ください。
まとめ:9月に観測しやすい星座
9月の夜空では、明るい代表的な星座から淡い星座まで楽しめます。天の川沿いに輝くわし座、はくちょう座、やぎ座、そして南天のくじゃく座を探してみましょう。それぞれの星座には神話や物語があり、空を見上げるたびに思い出すことができます。観測するなら、9月21日前後の月明かりのない夜がおすすめです。ナビゲーションには無料アプリStar Walk 2を活用してください。