クルースン：地球の「第2の月」？
今日は、地球の「第二の月」とも呼ばれる謎の天体、クルースンについてお話ししましょう。この考えがどのようにして生まれ、どれほど真実であるかを見ていきましょう。クルースンが空を移動する様子を確認するために、Sky Tonightアプリもダウンロードしてみてください。
内容
クルースンとは？
小惑星クルースン(3753 Cruithne)（日本ではほかにクルイシン、クルイーニャ、クルーフニェ、クルースンェなどの表記がある）は、直径2.07 kmの地球近傍天体です（心配になるかもしれませんが、潜在的に危険な天体ではありません）。1984年に発見され、1997年に科学者たちはその特異な軌道を明らかにしました。これにより、「地球の第二の月」と呼ばれるようになりました。
クルースンと地球の特別な関係
クルースンは、他のほとんどの小惑星とは異なる独自の方法で地球の近くを移動します：
- クルースンの公転周期は約364日であり、これは地球の公転周期とほぼ同じです（天文学者が言うように、1:1の軌道共鳴にあります）。これにより、クルースンが地球の軌道を追いかけているように見えるのです。
- クルースンは通常の楕円軌道で太陽の周りを回っていますが、地球の視点から見ると、その軌道はかなり奇妙で、腎臓豆のような形をしています。
- 約770年の期間にわたって、クルースンは地球の軌道の周りで豆の形をした一連のループを描き、地球がその間に収まる独特の馬蹄形のパターンを形成します。
クルースンは地球の第二の月か？
クルースンの軌道と地球への近接性は、月のような関連性を示唆するかもしれませんが、地球の月として分類される基準には合致しません。まず第一に、クルースンは地球を周回していません。時には太陽の向こう側にあり、地球の重力の影響を受ける範囲外にあります。その軌道の一部では、クルースンは金星や水星の近く、そして火星の軌道外に達します。クルースンと地球が太陽から同じ距離で公転しているため、クルースンと地球は共軌道天体であると言えます。
クルースンは地球の準衛星か？
準衛星は、惑星の周りを直接周回するわけではありませんが、似たような経路をたどり、その惑星に対して安定した位置を保つ伴侶のような存在です。これはまさにクルースンのことのように思えますが、結論を急がないでください。2024年3月現在、地球には6つの準衛星があり、クルースンはその中に含まれていません。理由は、準衛星は通常、惑星の周りに長細いループを描くように見えるためです。前述のように、クルースンの地球周りの経路は馬蹄形に似ています。しかし、数世紀後には準衛星軌道に変わる可能性もあります。研究によると、これらのシフト（馬蹄形軌道から準衛星軌道への変化とその逆）は、地球の共軌道小惑星の間で非常に一般的であることが示されています。たとえば、現在地球の準衛星の一つである小惑星Kamoʻoalewaは、これらの配置を繰り返し変更しています。
クルースンについての詳細情報
クルースンの大きさ
クルースンの直径は約2.07キロメートルであり、これは地球近傍小惑星の97％よりも大きいです。わかりやすい比較として、クルースンの高さはエンパイア・ステート・ビル5棟分、エッフェル塔6基分、自由の女神像22体分に相当します。クルースンを「地球の第二の月」と考えるアイデアを語るにあたって、我々の月の1,678分の1の大きさであることも言及する価値があります。
クルースンは地球から見えるか？
クルースンはその小さなサイズと地球からの大きな距離のために、肉眼では見えません。その等級は17.6であり、比較的暗いです。これは冥王星よりも暗いため、この小惑星を観察するには高度な望遠鏡と機器が必要です。ちなみに、無料のアプリSky Tonightはクルースンの位置を見つけるのに役立ちます。検索バーにこの珍しい名前を入力すると、アプリが現在の位置を示してくれます。
クルースンという名前の意味
「クルースン」（英語：Cruithne）という名前はアイルランド語に由来し、イギリス諸島に最初に定住した部族を指します。また、スコットランドの初期ケルト人であるピクト人の伝説の王の名前でもあります。
クルースン: まとめ
クルースンは地球近傍小惑星であり、その特異な軌道と地球との密接な関係で興味を引きました。一部の人々はこれを地球の第二の月と呼ぶことを急ぎましたが、この表現は正確ではありません。なぜなら、クルースンは地球の周りを公転しているわけではなく、地球と共に同じ距離で太陽を公転しているため、共軌道天体と呼ばれます。時間が経つにつれ、クルースンは地球の準月になる可能性があります。
