次に地球から見える彗星:2025年10〜11月にレモン彗星を見る方法

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天文ファンに朗報です!当初は目立たないと見られていた彗星が、予想を上回るペースで日ごとに増光しています。2025年10月〜11月には、レモン彗星は双眼鏡で、条件が良ければ肉眼でも見えるかもしれません。今夜から無料のSky Tonightアプリで追跡を始め、このガイドを使って次の明るい彗星の観測計画を立てましょう。

内容

レモン彗星(C/2025 A6)について知っておきたいこと

C/2025 A6 Lemmon - Best Comet of Fall 2025
2025年8月28日にMichael Jager氏とGerald Rhemann氏が撮影したC/2025 A6彗星。
  • 意外な増光2025年1月3日に発見されたレモン彗星は、当初は21等級ときわめて暗く、小惑星のように見えました。初期予報では望遠鏡でやっと見える程度以上には明るくならないと見込まれていました。しかし太陽との合を経て再出現したのち、8月の最初の観測で彗星活動の活発化が示され、その後1か月のうちに急速に増光しました。

  • おそらく2025年秋で最も見ごたえのある彗星。この傾向が続けば、10月下旬には双眼鏡で容易に、暗い空の下では肉眼でも見える明るさになる可能性があります。その時期に同等の明るさに達する他の彗星はありません。ただし、彗星は予測が難しいため、あくまで目安としてお考えください。

C2025 A6 Orbit
2025年の太陽系通過時におけるレモン彗星の軌道。次の帰還まで1000年以上かかる見込みです!
  • 北半球で有利彗星の軌道は144°傾いており、惑星とは逆向きの逆行で移動します。近日点は黄道の北側に位置し、北半球の観測者に有利です。10月10日までに北緯48°以上では周極(沈まない)となります。さらに、多くの地域での夕方の見頃は10月下旬〜11月上旬に重なり、北半球の秋の長く澄んだ夜とタイミングが合います。

  • 古の旅人レモン彗星は過去にも太陽に接近しており、公転周期は約1,350年でした。つまり最後に人々が見たのは千年以上前です。ところが今回の太陽系通過で公転周期が変化しました。4月16日に木星へ3億4,850万kmまで接近し、木星の重力がレモン彗星の軌道エネルギーを奪った結果、周期は約200年短縮され、現在は約1,154年と見積もられています。

レモン彗星(C/2025 A6)はどれくらい明るくなる?

数字で見てみましょう。天文学の等級は数値が小さいほど明るいことを意味します。

初期予報では、近日点に近い11月上旬の極大でも約9等と比較的暗いとされていました。ところが、2025年7月2日の太陽合後、8月中旬の観測で彗星活動の強まりが確認され、約1か月で16.5等から9等へと急速に増光。C/2025 A6は9月に予報された極大に到達し、なお明るさを増し続けています。

C/2025 A6 Magnitude
彗星の推定光度の推移を示したグラフ。

現在の楽観的な見立てでは、10月下旬に4等級 に達し、暗い場所なら肉眼で、双眼鏡なら容易に見える可能性があります。一部のモデルでは2等級を示唆するものもあります(実現性は低め)。一方で、慎重な見積もりは7〜7.5等級で、小型望遠鏡双眼鏡向きではあるものの、肉眼では見えません。

注意: 彗星は予定調和ではありません。思わぬ展開に備えましょう。最新情報はSNSで随時お知らせします。

レモン彗星(C/2025 A6)が見える場所

レモン彗星は現在、北半球では明け方の天体ですが、10月中旬ごろには夕方の空へ移ります。高緯度ほど有利で、この頃には北緯48°以北周極(沈まない)となります。

C/2025 A6 Sky Trajectory
2025年10月中旬以降、北緯48度以上の地域ではレモン彗星は周極となり、地平線下に沈みません。

10月下旬〜11月上旬には4等級に達する可能性があり、その後は急速に減光します。北半球では11月下旬には観測が難しく(不可)なります。

南半球では現時点では条件がよくありませんが、11月中旬には見え始める見込みです。

2025年におけるレモン彗星の経路

C/2025 A6 Path Through Constellations
2025年9月〜11月に星座間を移動するレモン彗星の経路。

現在、彗星は明け方の空でやまねこ座の領域にあります。続いて北天のこじし座・おおぐま座・りょうけん座・うしかい座を通過し、さらにへび座・ヘルクレス座・へびつかい座へと移動します。11月20日ごろには、夕方の薄明に紛れて見えなくなります。

空でC/2025 A6をどう探す?どこで見える?

どこを探せばいいか分かるよう、レモン彗星の詳しい経路をまとめました。手早い方法が良ければ、無料のSky Tonightアプリで**C/2025 A6 (Lemmon)**を検索し、画面の矢印に従って彗星を追ってください。

9月後半: 明け方、北東の地平線上。やまねこ座からこじし座へ移動し、月末までにおおぐま座へ。まだ暗いものの小型望遠鏡で見える可能性。離角¹ 約55°

10月上旬: 観測好機は未明(現地午前2時ごろ)。日の出直前に最も高く昇る。探す方角は北東で、北斗七星の東側おおぐま座の境界付近。離角 約58°

10月中旬: 多くの地域で夕方の空に移ってくる(場所によっては明け方と夕方の両方で見える)。夕方は北西の地平線上(北斗七星の西側)、明け方は北西—北方向(北斗七星の北側)をチェック。10月16日にはコル・カロリ(2.9等)の1°以内を通過。離角 約48°。

10月下旬:*- 夕方が最適。完全に暗くなる(天文薄明終了)まで待つのがおすすめ。うしかい座西の空を探すと、アルクトゥールスが彗星の約10°下**(腕を伸ばした拳1個分)に位置。離角 約39°

10月末〜11月初め(極大):*- 日没後西の空へびつかい座付近。最寄りの明るい星はウヌカルハイ**(2.6等)で、彗星の約8°西離角 約33°

11月中旬:*- 11月8日近日点通過後は急速に減光**。南半球でも夕方に観測可能になるが、西の低空に留まる見込み。離角 約24°

¹離角:天体が太陽からどれだけ離れて見えるかを角度で表したもの。数値が大きいほど太陽光の影響が少なく、観測しやすくなります。

月の位相

月は強力な光源で、淡い天体の観測を妨げることがあります。観測は月のない夜を狙いましょう。

  • 新月:10月21日
  • 上弦の月:10月29日
  • 満月:11月5日(幸い、彗星とは空の反対側に位置します)
  • 下弦の月:11月14日

詳しくは当サイトの月齢カレンダーをご覧ください。

レモン彗星(C/2025 A6)の発見

マウント・レモン・サーベイは2025年1月3日、21.5等級でこの天体を初めて記録しました。非常に暗かったため、当初は小惑星状天体と考えられていました。後に、2024年11月12日に撮影されたPan-STARRSのプレカバリー画像が同定されました。追観測では濃いコマ(約2.2秒角)と短い尾(約2秒角2025年2月21日に確認)が判明し、彗星であることが確定しました。発見から約1か月半後、本天体はC/2025 A6 (Lemmon)として公表されました。C/2025 A6(レモン)は力学的に古い彗星で、過去にも太陽近くを通過しています。

まとめ:C/2025 A6(レモン)の要点

  • タイプ:力学的に古い長周期彗星
  • 公転周期:1,350年(進入時)/1,154年(離脱時)
  • 近日点:2025年11月8日、0.53 AU
  • 地球最接近:2025年10月21日、0.60 AU
  • 予想最大光度:4等級(双眼鏡で容易、条件が極めて良ければ肉眼可);近日点前後(2025年11月8日ごろ)
  • 観測好機:北半球の10月下旬〜11月上旬

レモン彗星は、2025年10月下旬〜11月上旬の観測に最適なターゲットです。増光が続けば約4等級に達し、双眼鏡で容易に、条件が良ければ肉眼でも見える可能性があります。北半球が先に好条件となり、南半球では11月中旬から見え始めます。空での現在位置は無料のSky Tonightアプリで確認してください。

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