2025年の彗星:次の彗星を秋に見よう!
彗星を見たいと思ったことはありませんか?2025年には少なくとも3つの彗星が双眼鏡で見えるようになります。無料Sky Tonightアプリを使えば、お住まいの場所で空に現れる彗星を簡単に探せます。さあ、今年の天からの贈り物を見てみましょう!
内容
- 地球から見える次の彗星
- 2025年9月下旬~10月上旬の彗星:アトラス彗星(C/2025 K1)
- 2025年10月下旬~11月上旬の彗星:レモン彗星(C/2025 A6)
- 2025年11月下旬の彗星:クリステンセン彗星(210P)
- 2025年11月下旬~12月の彗星:3I/ATLAS/C/2025 N1 (ATLAS)
- 2025年11月~2026年2月の彗星:フィエチジョシュ彗星(C/2024 E1)
- 2026年1月中旬の彗星:ショーマス彗星(24P)
- 2026年7月上旬~8月下旬の彗星:テンペル第2彗星
- Sky Tonightで彗星の見つけ方
- 次に地球から見える彗星:まとめ
地球から見える次の彗星
次に見えるのはアトラス彗星(C/2025 K1)です。2025年後半の最も明るい訪問者と予想され、双眼鏡で簡単に見つけられるでしょう。その後に出現する彗星は、予想以上に明るくならない限り、少なくとも10×50双眼鏡が必要になる見込みです。
これらの彗星は、近日点や最接近日ではなく、実際に地球から見える時期順に並べています(その時点では観測できないものもあります)。各彗星の可視期間はタイトルで強調されているウィンドウをご参照ください。
2025年9月下旬~10月上旬の彗星:アトラス彗星(C/2025 K1)
- 近日点:2025年10月8日(等級5.2)
- 地球への最接近:2025年11月24日(等級9.7)
- 観測適地:北半球・南半球
アトラス彗星はいつ見られる?
アトラス彗星(C/2025 K1)は地球の近くを2回通過します。初回は8月13日に0.58天文単位まで接近し、このときの等級は約13等と暗く、大口径望遠鏡を持つ南半球の観測者のみが捉えられるでしょう。
10月上旬の近日点通過時には大きく明るくなり、等級5.2前後まで達する可能性があり、双眼鏡で観測できるかもしれません。北半球では明け方の空、南半球では夕方と明け方の空で観測しやすくなります。ただし、太陽に0.33 AUまで接近するため、彗星が近日点通過を無事に乗り越えるかは不透明です。
アトラス彗星はいつ発見された?
アトラス彗星(C/2025 K1)は2025年5月25日にチリで発見されました。ダイナミカルに新しい彗星であり、太陽に近づくのは今回が初めてと考えられています。核の直径は1 km未満と推定され、近日点通過時の過酷な条件により生存が危ぶまれています。現在の絶対等級は、ボートル生存限界より約15倍暗いレベルです。
2025年10月下旬~11月上旬の彗星:レモン彗星(C/2025 A6)
- 近日点:2025年11月8日(~8等級)
- 地球への最接近:2025年10月21日(~8等級)
- 観測場所:北半球
レモン彗星はいつ見られる?
2025年10月末、レモン彗星は地球から約0.6天文単位(AU)の距離を通過し、北半球の観測者にとって夕方の空で見やすい位置になります。10月から11月にかけて、彗星の等級は約8等級に達し、双眼鏡で観測可能になる見込みです。また、近日点付近で彗星が急激に明るくなる傾向があるため、レモン彗星も予想以上に明るくなり、3等級程度に達する可能性もあります。期待しましょう!
レモン彗星はいつ発見された?
レモン彗星は、力学的に古い彗星であり、これまでに何度も太陽へ接近していると考えられています。2025年1月3日、アメリカ・アリゾナ州のマウント・レモン天文台の天文学者によって発見されました。最初、この天体はCCNG6P2という仮符号が付けられていましたが、約1.5か月後に彗星であることが確認され、レモン彗星(C/2025 A6)と命名されました。
2025年11月下旬の彗星:クリステンセン彗星(210P)
- 近日点:2025年11月22日(等級 8.3)
- 地球への最接近:2025年11月8日(等級 8.1)
- 観測適地:北半球
クリステンセン彗星はいつ見られる?
2025年11月下旬、クリステンセン彗星は双眼鏡でかろうじて観測できる明るさになる可能性があります。夜明け前の東の低空に位置しますので、空が十分に暗くなったら地平線近くを探してみてください。それ以前はまだ暗すぎたり太陽の光に近すぎたりして、観測は難しいでしょう。
クリステンセン彗星はいつ発見された?
クリステンセン彗星は、2003年5月26日にエリック・クリステンセンがカタリナ・スカイサーベイの画像から発見した木星族周期彗星です。彗星の公転周期は5.7年で、核の直径は約1.7kmです。
2025年11月下旬~12月の彗星:3I/ATLAS/C/2025 N1 (ATLAS)
- 近日点通過:2025年10月29日(等級12)
- 地球への最接近:2025年12月19日(等級不明)
- 観測適地:北半球・南半球どちらからも可
3I/ATLASはいつ見られる?
3I/ATLAS(C/2025 N1 (ATLAS)としても知られる)は、珍しい星間からの来訪彗星です。2025年11月下旬から観測可能となり、最良のシナリオでは等級8まで増光して、両半球の夜明け前に双眼鏡や小型望遠鏡で捉えられる可能性があります。一方、現実的な予測では等級12前後にとどまり、暗い空の下で口径20cm(8インチ)程度の望遠鏡が必要とされます。なお、近日点付近では地球と彗星が太陽をはさんで反対側に位置するため、観測はできません。
3I/ATLASはいつ発見された?
この彗星は2025年7月1日にチリのリオ・ウルタドにあるATLASサーベイ望遠鏡で発見されました。星間天体としては、1I/ʻOumuamua(2017年)と2I/Borisov(2019年)に次ぐ3例目の確認例です。核は反射性の高い塵のコマに覆われており、直径は最大で約24kmと推定されています。これは、ʻOumuamua(100–1 000m)やBorisov(約975m)を大きく上回るサイズです。
2025年11月~2026年2月の彗星:フィエチジョシュ彗星(C/2024 E1)
- 近日点:2026年1月20日(5.2等級)
- 地球への最接近:2026年2月17日(6.2等級)
- 観測場所:近日点前は北半球、近日点後は南半球
フィエチジョシュ彗星はいつ見られる?
2025年秋には、北半球の観測者が小型望遠鏡や双眼鏡で観測できるかもしれません。その後、彗星が近日点に近づくと太陽に接近しすぎて観測が難しくなります。近日点通過後は南半球からの観測が最適となり、双眼鏡で見える可能性があります。
フィエチジョシュ彗星はいつ発見された?
フィエチジョシュ彗星は、2024年3月3日にポーランドの天文学者カツペル・ヴィエルツホスによってマウントレモン・サーベイの画像から発見されました。彗星の公転周期はまだ確定されていません。
2026年1月中旬の彗星:ショーマス彗星(24P)
- 近日点:2026年1月8日(9.9等級)
- 地球への最接近:2026年1月4日(9.9等級)
- 観測場所:両半球
ショーマス彗星はいつ見られる?
ショーマス彗星は2026年初めに最も明るくなり、双眼鏡で観測できるかもしれません。それ以前には、2025年11月8日から11日にかけて、空で有名なプレセペ星団(M44)に接近し、写真撮影の好機となるでしょう。
ショーマス彗星はいつ発見された?
ショーマス彗星は、1911年12月1日にフランスのニースで天文学者アレクサンドル・ショーマスによって発見された周期彗星です。公転周期は8.18年で、核の直径は約2.6kmと推定されています。
2026年7月上旬~8月下旬の彗星:テンペル第2彗星
- 近日点通過:2026年8月2日(等級 8.0)
- 地球への最接近:2026年8月3日(等級 8.0)
- 観測可能地域:両半球
テンペル第2彗星は地球から見えるか?
2026年7月以降、テンペル第2彗星は日没後の夕方の空に姿を現します。北半球・南半球ともに観測でき、特に南半球では地平線よりずっと高く昇ります。近日点付近では等級 8.0前後まで明るくなり、双眼鏡や小型望遠鏡で容易に捉えられる見込みです。
テンペル第2彗星はいつ発見された?
テンペル第2彗星は1873年7月4日にヴィルヘルム・テンペルによって発見された木星族周期彗星です。公転周期は約1,960日(約5.37年)で、近日点で太陽から1.42 天文単位、遠日点で4.71 天文単位まで距離を変えながら周回します。
Sky Tonightで彗星の見つけ方
彗星はかすかでぼやけていて検出が難しい天体であるため、彗星の位置を確実に把握しておくことが最善です。Sky Tonightアプリを使用すると、空の明るい彗星をすばやく見つけることができます。見つけ方は次のとおりです。
- 画面下部の拡大鏡アイコンをタップします。
- 検索フィールドに、彗星の名前または名称を入力します。
- 検索結果で彗星を見つけ、その名前の横にある青いターゲットのアイコンをタップします。
- アプリは空の彗星の現在位置を表示します。
- デバイスを空に向け、白い矢印に従って彗星を見つけます。
また、検索結果で彗星の名前をタップし、イベントのタブに移動して、彗星に関連するイベント(近日点と地球への最接近)を表示することもできます。イベントの横にある青いターゲットのアイコンをタップして、近日点または最接近時の彗星の位置を確認します。
次に地球から見える彗星:まとめ
次に近日点を通過する彗星はアトラス彗星(C/2025 K1)で、10月上旬には両半球から双眼鏡で簡単に観察できるようになる見込みです。今後の彗星情報も随時お届けします。
この記事を書くにあたり、彗星観測データベース、TheSkyLive、天文学者Gideon van Buitenen、吉田誠一のデータを参考にしました。