10月の星座と星:わかりやすいガイド
この10月は夜空を見上げてみましょう!夕方の空では、みなみのうお座・つる座・ペガスス座・みずがめ座・ケフェウス座・とかげ座・はちぶんぎ座の7つの星座が見頃を迎えます。本ガイドでは、両半球からの観測ポイント、フォーマルハウトやペガススの四辺形といった明るい星を目印にして淡い星座を探す方法をわかりやすく解説します。各セクションでは、初心者でも迷わず星をたどれるように、明快な手順を紹介します。星や星座の名前をスマートフォンの画面上で確認したいときは、Star Walk 2のARスカイマップを活用してみてください。
目次
はじめに
毎月のおすすめ星座を紹介するシリーズへようこそ!10月は、みずがめ座・ペガスス座・ケフェウス座・つる座・とかげ座・はちぶんぎ座・みなみのうお座が主役です。
星座はその月の午後9時ごろに子午線を通過し、空の最も高い位置にくる時期が観測に最適とされています。
観測の目安時間:現地時間の午後9時〜10時。
夜空を簡単にナビゲートしたり、ARスカイマップを使って確認したい場合は、無料のStar Walk 2アプリをご利用ください。
10月に見える星座と代表的な星
みなみのうお座
- 明るさ:☆☆☆
- 見える範囲:北緯50°〜南緯90°
- 最も明るい星:フォーマルハウト (1.2等級)
- 主な深宇宙天体:NGC 7314 (銀河、10.5等級)

10月の夜空でみなみのうお座を探す方法
北半球では、南の地平線付近に輝く明るい星フォーマルハウトを目印にしてください。星座の残りの部分は、みずがめ座の南側に広がる小さく淡い形をしています。南半球では、みなみのうお座は空高くに位置し、多くの場合その北寄りの部分で南中します。
観測のコツ:フォーマルハウトは秋(南半球では春)の肉眼で見える確かな目印です。この領域の星々は全体的に暗いため、フォーマルハウトがひときわ目立ちます。北半球では高度が低いため、開けた南の地平線が必要です。南半球でははるかに高く昇り、長い時間観測できます。
みなみのうお座の神話
みなみのうお座は「魚」として描かれる星座です。ギリシャ神話では「大きな魚」として知られ、みずがめ座が注ぐ水を飲む姿で表されます。明るい星フォーマルハウトは魚の口を示しており、その名前もアラビア語で「魚の口」を意味します。
また、うお座に描かれる2匹の魚は、この「大きな魚」の子どもだと言い伝えられています。
つる座
- 明るさ:☆☆☆
- 見える範囲:北緯35°〜南緯90°
- 最も明るい星:アルナイル (1.7等級)
- 主な深宇宙天体:NGC 7424 (銀河、11等級)

10月の夜空でつる座を探す方法
つる座はみなみのうお座の南側に位置します。明るいフォーマルハウトを出発点にして、そこから南へ、そして少し西へたどると、つるの長い首を形作る星の列が見つかります。最も明るい星アルナイル(つる座α星)が足の位置を示します。
北半球:つる座は南の地平線すぐ上に低く見え、フォーマルハウトのすぐ下に広がります。観測する際は、南の地平線が開けた場所を選びましょう。
南半球:つる座は夜空高くに昇り、暗い場所であれば簡単にたどることができます。
つる座の神話
つる座には特定の神話は伝わっていません。16世紀の探検家や地図製作者によって南天の星空に新たに加えられ、初期の星図に登場しました。その名は鶴(つる)に由来し、多くの文化で優雅さ、用心深さ、そして長い旅の象徴とされています。長い航海の時代に発見された星座にふさわしい名前です。
ペガスス座
- 明るさ:☆☆☆
- 見える範囲:北緯90°〜南緯60°
- 最も明るい星:エニフ(ペガスス座ε星、2.4等級)
- 主な深宇宙天体:M15(ペガスス大球状星団、6.2等級)、ステファンの五つ子銀河(銀河群、合成等級13)

10月の夜空でペガスス座を探す方法
ペガスス座を見つける手がかりは、夜空に大きな四辺形を描くペガススの四辺形です。四隅はマルカブ、シェアト、アルゲニブ、そしてアルフェラッツ(この星はアンドロメダ座に属しますが、四辺形を完成させています)。四辺形の西側には、ペガスス座で最も明るい星エニフ(ε星)があり、馬の鼻先を示しています。エニフから四辺形へ短い星の列が伸びていて、これは首の部分にあたります。
北半球:日没後、南東の空高くに四辺形がよく見えます。エニフはその右(西側)にあります。
南半球:日没後、北東の空に四辺形が現れます。やや低く、角を傾けた形に見え、エニフは四辺形の左(西側)にあります。
四辺形を探すコツは、他の有名な星を目印にすることです。まず北の方向に輝くポラリス(北極星)を見つけます。そこから東へ線を伸ばすと、W字またはM字に並んだカシオペヤ座にたどり着きます。さらにその線を延長すると、ペガススの四辺形に到達します。
ペガスス座の神話
ペガススはギリシャ神話の有名な翼のある馬です。英雄ペルセウスがメデューサの首をはねたとき、その血から生まれたとされます(一説では海の泡と混じり合って誕生したとも言われます)。
多くの物語ではペガススはペルセウスとアンドロメダに結びついています。ある話ではペルセウスがペガススに乗ってアンドロメダを救い、別の話ではヘルメスの翼のあるサンダルを使ったとされています。
最も有名なのは、英雄ベレロポンとの物語です。女神アテナから授けられた黄金の手綱でペガススを従え、怪物キマイラを倒しました。しかしベレロポンがオリンポスへ昇ろうとしたとき、ゼウスがアブ(ガドフライ)を放ち、ペガススを刺しました。ペガススは跳ね上がり、ベレロポンは落下。ペガススは無事に天へ昇り、ゼウスの雷霆(いかずち)を運ぶ役目を与えられ、星座として天空に置かれました。
みずがめ座
- 明るさ:☆☆
- 見える範囲:北緯65°〜南緯90°
- 最も明るい星:サダルスウド(2.9等級)
- 主な深宇宙天体:土星状星雲(NGC 7009、8等級)、らせん状星雲(NGC 7293、7.3等級)

10月の夜空でみずがめ座を探す方法
みずがめ座は目立つ星が少なく暗い星座なので、観測には月明かりのない暗い夜を選びましょう。位置はやぎ座とうお座の間にあり、黄道十二星座のひとつなので、太陽・月・惑星が通過します。
2025年10月は、黄金色に輝く土星が目印になります。土星は2025年9月21日に衝を迎え、10月いっぱいはみずがめ座とうお座の境界付近で明るく輝いています。
- 北半球では、南の空を向いて淡く広がる星の並びを探しましょう。中でも、星が4つ集まって小さな四辺形を作る「水瓶(ウォータージャー)」のアステリズムが良い目印になります。
- 南半球では、北の空高くに見えます。明るいフォーマルハウト(みなみのうお座)を起点にすると、すぐ北にみずがめ座が見つかります。
みずがめ座の神話
みずがめ座は「水瓶を持つ者」として描かれます。ギリシャ神話では、トロイアの美少年羊飼いガニメデを表しています。ゼウスはガニメデに恋をし、鷲の姿に変身するか、あるいは鷲(わし座のアケイラ)を遣わして、彼をオリンポスへ連れ去りました。
ガニメデはそこで神々の給仕役(酒杯係)となり、神々にワインやネクターを注ぎました。
多くの描写では、ガニメデの持つ瓶から水が流れ出している姿で表されます。その水はみなみのうお座(フォーマルハウト)に注がれる川とされ、雨季の訪れを象徴しています。ゼウスはガニメデを讃えて、夜空にみずがめ座として置いたと伝えられています。
ケフェウス座
- 明るさ:☆☆
- 見える範囲:北緯90°〜南緯10°
- 最も明るい星:アルデラミン(2.5等級)
- 主な深空天体:アイリス星雲(NGC 7023、6.8等級)

10月の夜空でケフェウス座を探す方法
ケフェウス座は、カシオペヤ座とポラリス(北極星)の間、北天の天の北極付近に位置しています。五角形の星の並びは、まるで「子どもが描いた家」のような形をしています。
おおぐま座の北斗七星を見つけ、ひしゃくの枠の外側2つの星を結んで線を伸ばすとポラリスに到達します。そこから視線をW字型(南半球ではM字型)のカシオペヤ座に向けて、その中間付近にある「家の形」をした星の並びがケフェウス座です。
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北半球では、北緯40°以北では周極星座となり、一晩中・一年中沈むことなく、北の空に見ることができます。
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南半球では、ケフェウス座は低く位置し、地平線に隠れることがあります。赤道から遠い南緯の地域(例:シドニー)では、全く見えません。
ケフェウス座の神話
ケフェウス座は、神話に登場するエチオピアの王ケーペウスにちなんで名付けられました。彼はカシオペヤの夫であり、アンドロメダの父です。
死後、ゼウスはケーペウスを星座として夜空に置いたとされています。その理由は、ケーペウスがゼウスの寵愛を受けたニンフのイオの子孫であったからです。秋の夜空には、この王家の一族に加え、ペガスス座やペルセウス座も輝いています。
とかげ座
- 明るさ:☆
- 見える範囲:北緯90°〜南緯35°
- 最も明るい星:ステッリオ(とかげ座アルファ星、3.8等級)
- 主な深空天体:散開星団 NGC 7243(6.4等級)

10月の夜空でとかげ座を探す方法
とかげ座は、はくちょう座とアンドロメダ座の間にある、比較的暗い領域に位置しています。星々は淡く、小さなジグザグを描いていて、多くの人はこれを「小さなW字」と呼びます(「大きなW字」はカシオペヤ座)。
北半球では、北東の高い空を探してみましょう。
南半球では、北の低い空に見えます。
周囲には目印となる明るい星座があります:南にペガスス座の大四辺形、北にカシオペヤ座のWとケフェウス座の家の形、西にはくちょう座の北十字。とかげ座はちょうどこの「箱」の中に収まっています。
とかげ座の神話
とかげ座は、ヨハネス・ヘヴェリウスによって1690年に導入された星座です。神話との関連はなく、そのくねった形が、天の川の縁を素早く走る小さなトカゲを思わせたことから名付けられました。
はちぶんぎ座
- 明るさ:☆
- 見える範囲:南緯5°〜南緯90°
- 最も明るい星:はちぶんぎ座ニュー星(3.7等級)
- 主な深空天体:NGC 7098(銀河、11.3等級)

10月の夜空ではちぶんぎ座を探す方法
はちぶんぎ座は南天の天の南極を囲むように広がり、南半球では周極星座として一年中見ることができます。暗い夜に南を正面に向き、σ(シグマ)オクタンティス(約5.5等級)を探してみましょう。この星は天の南極に最も近い位置にありますが、暗すぎて北極星のような目印にはなりません。はちぶんぎ座の淡い三角形の形を描くには、天文アプリや星図を使うのがおすすめです。
南天には明るい極星が存在しません。極点付近にはPolarissima Australis(約13.5等級)と呼ばれる非常に淡い銀河があり、大型望遠鏡でしか観測できません。はちぶんぎ座で最も明るい星はν(ニュー)オクタンティスで、地球から約69光年離れています。
この星座は北半球のほとんどの地域では観測できません。
はちぶんぎ座の由来
はちぶんぎ座の名は、航海用の観測器具である八分儀に由来します。神話に関連する星座ではなく、大航海時代を記念して命名されました。その位置が天の南極に近いため、南半球の航海術において重要な目印として利用されてきました。北半球のポラリス(北極星)に相当する、南天の静かな相棒といえます。
10月の夜空で見られるその他の天文現象
2025年10月には、月が安定したショーを見せてくれます。満月は10月7日、下弦の月は10月13日、最も暗い夜空が広がる新月は10月21日、そして上弦の月は10月29日に訪れます。月相の正確な時刻は、当サイトの月暦で確認できます。
10月8日〜9日頃には、りゅう座流星群が夕方の早い時間にピークを迎えますが、満月を過ぎたばかりの明るい月明かりで多くの暗い流星は見えなくなるでしょう。オリオン座流星群は10月21日の夜明け前に極大を迎えます。新月と重なるため、観測条件は最高です。
土星は2025年9月21日の衝を過ぎてもなお夕方の観測対象として絶好で、この月いっぱい明るく輝き続けます。
双眼鏡を持っているなら、2つの彗星が観測できる可能性もあります。10月初旬にはATLAS彗星(C/2025 K1)、月末にはレモン彗星(C/2025 A6)が見頃になります。予想では9等級前後ですが、彗星はしばしば予想を裏切る明るさを見せることがあります。見逃さないよう、最新の彗星ガイドをチェックしましょう!
まとめ:10月に見やすい星座
10月の夜空では、黄道帯のみずがめ座、大きな四辺形で知られるペガスス座、北の王ケフェウス座、南の代表つる座とみなみのうお座、そして淡いとかげ座やはちぶんぎ座を観察できます。観測におすすめなのは21日前後の新月期、時間は夜9時〜10時頃。このガイドを参考に、秋の星空をめぐるシンプルなツアーを楽しみましょう。無料の Star Walk 2 アプリを使えば、さらに簡単にナビゲーションできます。