いっかくじゅう座:星と基礎知識、一角獣座の見つけ方
いっかくじゅう座は暗い星座なので、見落としてしまう人が多い星座です。けれど実は、有名な星が集まる空域のど真ん中にあります。朗報は、コツさえ分かれば一角獣座はそれほど見つけにくくないということ。オリオン座、シリウス、プロキオンといった明るい目印で周辺を「枠取り」すればOKです。このガイドでは、一角獣座がどこにあるのか、いつが見頃なのか、そして星座の中に隠れているおすすめの深空天体を紹介します。いちばん手早く見つけたいなら、Star Walk 2を開いて「いっかくじゅう座」を検索し、画面のポインターに従って空の同じ場所を確認してください。
目次
- いっかくじゅう座の基礎データ
- いつ、いっかくじゅう座が見える?
- 空のどこに、いっかくじゅう座がある?
- いっかくじゅう座の注目の恒星
- いっかくじゅう座のおすすめ深空天体
- 歴史:いっかくじゅう座は古代の星座ではない
- よくある質問:いっかくじゅう座
- いっかくじゅう座の魅力とは?まとめ
いっかくじゅう座の基礎データ
いっかくじゅう座は天の赤道付近にある暗い星座です。面積は482平方度で、88ある現代星座のうち35番目の大きさです。
- 名称:いっかくじゅう座(Monoceros)
- 略符:Mon
- 象徴:ユニコーン
- 見頃:2月の21時ごろ
- 面積:482平方度(88星座中35位)
- 赤経:7h 10m 12s
- 赤緯:−1° 18′ 00″
- 見える緯度:北緯75°〜南緯85°
- 最も明るい星:β星(合成等級3.7)
- 主な恒星:4
- メシエ天体:1
- 流星群:2
- 隣接する星座:おおいぬ座、こいぬ座、ふたご座、うみへび座、うさぎ座、オリオン座、とも座

注:いっかくじゅう座は見つけやすい星座ではありません。4等星より明るい星が3つしかないため、星座の形は街明かりの下では見えなくなることもあります。でも大丈夫。すべての星座がオリオン座のように目立つ必要はありません。双眼鏡があるとかなり楽になり、星空アプリを使えば、正しい星の並びを見ているかどうかを確認しやすくなります。
いつ、いっかくじゅう座が見える?
いっかくじゅう座は、北半球では冬の星座、南半球では夏の星座です。いちばんの見頃は2月。実用的な目安として、オリオン座が十分高く上がって見ごたえがあり、シリウスがヘッドライトのようにまぶしく輝いているなら、いっかくじゅう座はすぐ近くにあり、探す価値があります。
夜のベストタイム
北半球の中緯度では、2月の現地時間で夜9時ごろがベスト。星座が地平線より十分高く上がります。南半球の緯度では、太陽が完全に沈むまで、もう少し待つ必要があります。
今夜、あなたの場所での正確な見頃を知りたい?Star Walk 2なら、いっかくじゅう座が空でいちばん高くなる時間を表示できるので、ベストタイミングに合わせられます。
空のどこに、いっかくじゅう座がある?
いっかくじゅう座は天の赤道付近にあり、冬の星空でもとくににぎやかなエリアにひっそり隠れています。場所をいちばん説明しやすいのは、「明るく有名な星座の間にある」と言うこと。西にオリオン座、南におおいぬ座、北にふたご座、東にうみへび座があり、こいぬ座、うさぎ座、とも座も近くにあります。
いっかくじゅう座の見つけ方
いっかくじゅう座を探すなら、まず見つけやすい目印から始めましょう。夜空で最も明るい星のシリウスと、オリオン座の三ツ星(一直線に並ぶ3つの明るい星)です。さらに、こいぬ座でいちばん明るい星・プロキオンを合わせると、いっかくじゅう座が隠れている領域を「枠取り」できます。

いっかくじゅう座を見つける手順はこちら:
- 南の低い空にあるシリウスを探します。強くまたたき、色が変わって見えることもあるので、まず間違えません。
- そこから少し西に目を向け、一直線に並ぶ3つの星、オリオン座の三ツ星を見つけます。
- さらに少し東側にあるプロキオンを探して、明るい星の「枠」を完成させます。
- その三角形の内側のエリアを見てください。そこにいっかくじゅう座があります。
- 双眼鏡を使うと暗い星が見えやすくなります。星の数が増えると、星座の形もぐっとたどりやすくなります。
数秒で星座を特定したい?Star Walk 2を開いて「いっかくじゅう座」を検索し、白い矢印に従えば、あなたの空での正確な位置がすぐ分かります。
この方法は特に街明かりのある場所で便利で、ガイドがないとほとんど見えないこともあるいっかくじゅう座の確認に役立ちます。
いっかくじゅう座と冬の大三角

冬の大三角を聞いたことがあるかもしれません。これは3つの明るい星(シリウス、ベテルギウス、プロキオン)で作られる、目立つアステリズムです。北半球の冬の宵には、冬の大三角が南の地平線の上に現れ、その近くで、ひっそりとした星座のいっかくじゅう座を見つけやすくなります。
南を向いて、またたく星シリウスを探しましょう。次に、シリウスの上で少し西寄りにあるオレンジ色の星ベテルギウスを見つけます。そこにプロキオンを加えて三角形が完成すれば、冬の大三角です!
ちなみに冬の大三角は、もっと大きな星の並びである冬の六角形(冬の大円とも呼ばれます)の一部でもあります。6つの星座に属する6つの星で構成され、六角形の向かい合う頂点どうしの見かけの距離は、空のおよそ3分の1に達します。
いっかくじゅう座の注目の恒星
いっかくじゅう座には、シリウスがおおいぬ座で圧倒的に目立つような「主役の一等星」はありません。でも、場所さえ分かれば観察して楽しいターゲットがいくつもあります。
いっかくじゅう座ベータ星(β星):望遠鏡で映える名対象

いっかくじゅう座ベータ星(β星)は、いっかくじゅう座で最も明るい星で、有名な三重星系です。肉眼では1つの星に見えますが、小さな望遠鏡でも三つの星が三角形に並ぶ様子が見えてきます。各星の視等級は4.7、5.2、6.1で、合成等級は約3.76です。
望遠鏡が初めての人にも、β星は最高の「ごほうびターゲット」です。見つけやすく、見えた瞬間に特別感があります。ウィリアム・ハーシェルは1781年にβ Monを観測し、「天で最も美しい眺めの一つ」と称しました。
いっかくじゅう座アルファ星(α星)ガンマ星(γ星):比較的明るい目印
いっかくじゅう座アルファ星(等級3.93)といっかくじゅう座ガンマ星(等級3.98)は、いっかくじゅう座の中でも肉眼で見つけやすい星の部類に入り、深空天体へ星をたどっていく(スターホッピングする)際の出発点として便利です。
いっかくじゅう座には、等級4より明るい星はこの2つ以外にありません。
いっかくじゅう座のおすすめ深空天体
いっかくじゅう座の本当の宝は、その中に隠れている深空天体です。深空天体観察の入門としてもぴったりの星座と言えるでしょう。いっかくじゅう座の位置が分かったら、望遠鏡を取り出して、星座の中にある美しい深空天体をいくつか観察してみるのがおすすめです。
このエリアで何が見えるのかを理解するために、もうひとつ役立つポイントがあります。いっかくじゅう座は天の川の平面に沿った位置にあります。星間塵が遠方の銀河を隠してしまうことがあるため、このあたりは銀河探しよりも、星雲や星団の観察に向いています。
ばら星雲(Caldwell 49):目玉ターゲット

ばら星雲は冬の星空で最も有名な星雲のひとつで、いっかくじゅう座を探す大きな理由になる存在です。大きくて写真映えし、中心に明るい散開星団が重なっています。
ばら星雲は等級9.0の大きな散光星雲で、地球から約4,900光年離れています。また、星が生まれる場所になり得る暗い「ボーク・グロビュール」も含まれています。
見え方の目安:
- 双眼鏡:星雲本体よりも、中心の星団のほうが見つけやすいことが多い。
- 望遠鏡:星団は目立つ。星雲の細部は暗い空やフィルター使用で見えやすくなる。
- 天体写真:広視野で撮ると、全体の「ばら」構造がよく分かる。
この星雲の形は人の頭蓋骨に似ているため、「スカル星雲」と呼ばれることもあります。ただし、「スカル星雲」として有名なNGC 246と混同しないでください。星雲は奇妙な形に見えることが多く、その結果、名前もユニークになりがちです。写真を見ただけで星雲の名前を当てられる?星雲の名前当てクイズで挑戦してみましょう!

メシエ50(M50):ハート形の星団

M50は、いっかくじゅう座にある唯一のメシエ天体です。この明るい散開星団は、小さな望遠鏡でも多くの星に分離して見えるため、観察の満足度が高いターゲットです。
M50は、いっかくじゅう座とおおいぬ座の境界付近にあり、地球から約3,200光年離れています。見かけの大きさは満月の約半分で、ハート形に見えるとよく表現されます。
口径150mmの望遠鏡で約100倍にすると、全体でおよそ600個のメンバー星のうち、70個以上を分離して見られることが一般的です。さらに口径の大きな機材では、見え方はいっそう豊かになります。口径250mmの望遠鏡なら、幅約25分角の範囲に約150個の星が見えてくることもあります。青白い星が多いのも、この星団の魅力です。
NGC 2264:クリスマスツリー星団とコーン星雲

NGC 2264は、いっかくじゅう座にある広い領域全体に付けられたカタログ名です。この領域は主に2つの見どころで知られています。若い星が集まる「クリスマスツリー星団」と、近くにあるガスと塵の雲「コーン星雲」です。同じエリアで「スノーフレーク星団」や「キツネの毛皮星雲」という名前を見聞きすることもありますが、天体カタログでは必ずしもNGC 2264の一部として扱われているわけではありません。
この複合天体は地球から約2,300光年離れています。比較的近く、空の広い範囲に広がっているため、これまで詳細に研究されてきました。
双眼鏡や小型望遠鏡でも、星団の明るい星々と、周囲の星雲による淡いもやのような光をとらえられます。暗くて月明かりのない冬の夜が、とくに観察に向いています。ただし、NGC 2264は写真では写しやすい一方で、光学機器でくっきり見るのは意外と難しい点に注意してください。
NGC 2261:ハッブルの変光星雲

NGC 2261は、いっかくじゅう座にある小さな変光星雲です。「ハッブルの変光星雲」やCaldwell 46としても知られています。最初期に研究した天文学者の一人、エドウィン・P・ハッブルにちなんで名付けられました。
この星雲が光って見えるのは、いっかくじゅう座R星という若い星の光を反射しているからです。星そのものは直接見えにくいのですが、その光が周囲の塵を照らし、特徴的な扇形の光として現れます。時間がたつと明るさや見え方が変化することがあり、そこから「変光」と呼ばれています。
NGC 2261は、サンタクロース星雲という愛称で呼ばれることもあります。形が、厚手の冬のコートを着た長いひげの人物のように見えることがあり、冬の観察シーズンにちょうどよい位置にあるためです。
等級は約9で、観察はやや手ごわいターゲットです。はっきり確認するには、口径8インチ(200mm)程度以上の望遠鏡が必要になることが多いでしょう。
歴史:いっかくじゅう座は古代の星座ではない

いっかくじゅう座は比較的新しい星座で、ギリシャ神話に由来する伝承はありません。これはそれほど不思議ではありません。というのも、この星座の恒星は全体的に暗く、「ユニコーン」の輪郭は肉眼よりも、詳しい星図のほうが見つけやすいからです。
この星座は、オランダの地図製作者ペトルス・プランシウスが1612年ごろに導入したとされています。その後、ヤーコプ・バルチが1624年に星図に載せ、「Unicornu」という名前を用いました。
ブラウン大学の「Unicorn Found」プロジェクトでは、ペルシアの資料に古い「馬に似た図像」があった可能性を指摘する著者もいる、と紹介されています。ただし、それがいっかくじゅう座を具体的に指しているという確かな証拠はありません。
そして、夜空にある“馬”モチーフは、いっかくじゅう座だけではありません。時代や文化によって、さまざまな星の並びや天体が馬にちなんだ名前の由来になってきました。夜空のどこに馬が現れるのか、専用の記事でチェックしてみてください(夜空に現れる馬たち)。
よくある質問:いっかくじゅう座
いっかくじゅう座は肉眼で見えますか?
はい、いっかくじゅう座は肉眼でも見えますが、かなり暗い星座です。街明かりの強い空では、はっきりした形として捉えにくいことがあります。双眼鏡や、星空アプリの表示(AR/オーバーレイ)を使うとぐっと分かりやすくなります。
いっかくじゅう座は空のどこにありますか?
いっかくじゅう座は天の赤道付近にあり、明るい星座に囲まれています。西にオリオン座、南におおいぬ座、北にふたご座、東にうみへび座があります。また、こいぬ座、うさぎ座、とも座とも接しています。
いっかくじゅう座がいちばん見やすい時期は?
北半球では晩冬が見頃で、夕方に観察するなら2月がベストな月としてよく挙げられます。
いっかくじゅう座でおすすめの深空天体は?
最も有名なのはばら星雲で、バラのような形から天体写真家に特に人気です。目視観察では、暗い空の下で双眼鏡や広視野の望遠鏡を使うと見やすくなります。
いっかくじゅう座の魅力とは?まとめ
いっかくじゅう座の魅力は、一見すると地味で「隠れた星座」に見えるのに、冬の星空でも深空天体が特に豊富なエリアに位置していることです。目立つ目印となる明るい恒星がないため見落とされがちですが、オリオン座・シリウス・プロキオンを手がかりに場所を特定できれば、双眼鏡や望遠鏡で楽しめる見どころが一気に広がります。ばら星雲、クリスマスツリー星団の領域、時間とともに見え方が変化するハッブルの変光星雲、そして見つけやすい散開星団のメシエ50(M50)などが代表例です。つまり、いっかくじゅう座は星の並びそのものよりも、「中に隠れているもの」が特別な星座なのです。
すぐに見つけて、ベストターゲットまで一気にたどりたい?Star Walk 2をダウンロードし、「いっかくじゅう座」を検索して、白い矢印に従って星座を探してみてください。
楽しい星空観察を!

