月と金星が一体に:三日月形の天体を2つ同時に見る方法
月と金星は夜空での輝きが特に目立ちますが、今週の未明にお互いが接近します。世界のいくつかの地域では、月が輝かしい金星を掩蔽する素晴らしい様子の観測も可能です。この2つの天体の観測方法や、この天体ショーで何が起こるのかなどを説明します。
##「明けの明星」の観測
2020年6月3日に太陽と内合した後、金星は夕方ではなく明け方に見えるようになりました。この「明けの明星」は日の出前に東北東の地平線の近くに現れます。薄明るい早朝の空の低い位置にあるので見つけにくいかもしれませんが、太陽と月に次いで3番目に明るい天体なので、発見の可能性は十分にあります。地平線付近に障害物がなくて天候が良ければ、日の出前の45分~60分の間に肉眼で金星を見ることができるはずです。
月と金星の接近
2020年6月17日、18日、19日の夜明け前から夜明けにかけて、月と金星は互いに近い場所に位置し、空の中で一番強い輝きを放ちます。この天体カップルは、未明に東北東の地平線近くにあるおうし座の中にあるはずです。観測のコンディションが良ければ、金星が肉眼で見えますが、万が一のことを考えて双眼鏡を用意するとよいでしょう。また、天体観測アプリStar Walk 2を使って、月と金星の昇沈の現地時刻を事前にチェックしておきましょう。
地球から空を見上げると、これから日を追うごとに地球の衛星が金星にさらに接近するように見えます。最接近は6月19日で、0°42'を通過し合います。双眼鏡や小さな天体望遠鏡を使えば、この時に2つの三日月形の月と金星を同時に目にできます。世界のいくつかの地域では、この日に金星食も見えます。
金星食:観測の日時と方法
2020年6月19日に月による金星食(掩蔽)が起こります。掩蔽とは一つの天体がもう一つの天体の前を通過する現象で、後ろにある天体が隠れて見えなくなります。地球からは、この日に金星が月の明るい部分の後ろに隠れて消えてしまうように見えます。金星の明るい部分はおよそ7%で、その明るい部分に月(明るい部分が3%の三日月)がかぶさります。
この金星食が一番よく見える時間は、07:20 UTCから09:00 UTCまでです。天候が良ければ、北アメリカの数か所、アゾレス諸島、カナリア諸島、カナダの極北地域と東部、グリーンランド、ヨーロッパ北部の数か所、ロシア、モンゴルなどで、完全にまたは部分的に見られます。この天体ショーの時間は日の出の後なので、双眼鏡や小さな天体望遠鏡があれば観測がしやすくなります。月と金星の位置は太陽からそれほど遠くないので、機器を使っての観測では安全に十分注意してください。
この金星食は、朝の空で金星の輝く姿を観測するのに絶好の機会です。お住まいの地域で金星食が観測可能な時刻などについては、天文ガイドアプリのStar Walk 2でチェックしてください。
月と金星が一緒に並んでいる姿は、金星食の有無にかかわらず素晴らしいので、絶好のシャッターチャンスでもあります。